• 京町家net ホーム
  • サイトマップ
  • アクセス・お問い合わせ
京町家友の会

※「京の菓子暦」は、平成14年(〜15年)の取材記事です。
 今年(2002年11月)は例年に比べて、秋の深まりが早いように感じます。京都では、紅葉もいつもなら、十一月の下旬から十二月のかかり辺りが一番きれいですけれど、今年はもう、そこかしこの木々が色づいてきています。赤に黄色に緑色、色とりどりの落ち葉が風に吹かれて一所に寄せ集まった、そんな姿をお菓子に名付けたのが「吹寄せ(ふきよせ)」です。
 和菓子は京都人の毎日の暮らしに密接に結びつき、生活と心を豊かにしてくれています。毎月のお菓子を紹介しながら、その奥にある京都の知恵と文化を探れたらと思います。



◆お干菓子
 一般に「お干菓子」と呼んでいるお菓子は、その材料や製法から、いくつかの種類に分けることが出来ます。主なものに「和三盆(わさんぼん)」、「落雁(らくがん)」、「生砂糖(きざと)」、「雲平(うんぺい)」などがあります。
 お干菓子は、主にモチ米を主原料にしています。モチ米を洗って蒸して干すと「道明寺粉(どうみょうじこ)」が出来ます。それを砕くと「みじん粉」、もっと砕くと「極みじん粉」、炒って焦がすと「焦がしみじん粉」、白焼きにして砕くと「焼きみじん粉」、そして「焼きみじん粉」を細かくしたものが「寒梅粉(かんばいこ)」と呼ばれます。「寒梅粉」は、練ると糊のようになり、人形創りや工芸品の接着剤としても使われます。


・和三盆

紅白の和三盆
 和三盆というのは、もともとは砂糖キビから伝統的な製法で作られる純日本産の手作りのお砂糖のことです。現在では、四国の香川や徳島の一部の地域でのみ作られています。ミネラルが多く独特の風味があって、口溶けも良く、お砂糖の中では最高級品として和菓子には良く使われます。和菓子にするには、混ぜ込む場合と上からまぶす場合がありますが、お干菓子は、和三盆に少しの蜜を混ぜて木型で打ち出して作ります。蜜を混ぜないと型にくっついてしまうようです。形がきれいに出来るので、打ち物に向いています。

・落雁

落雁のいろいろ
 極みじん粉と砂糖、蜜を混ぜ合わせ、木型で抜いて作ります。
 雪の上、あるいは田んぼの上に雁が落ちる様子を表して付いた名前です。黒ゴマを入れて雁に見立てるのが落雁の風情で、元々の原型かと思われます。今では季節の色や形、味付けや風味付けをして多くの種類が作られるようになりました。お抹茶入りの「山」やはったい粉を混ぜた「香(こう)」、「松茸」にはニッキがまぶしてあります。
 他に「雀」と「鳴子」、「観世水(かんぜすい)」や、大徳寺納豆を入れたものもあります。

・生砂糖

生砂糖のいろいろ
 寒梅粉と砂糖と蜜を合わせて練り、型抜きをして乾燥させて作ります。薄くて硬い葉っぱなどにしますが、パリパリと食べやすいお干菓子です。「松葉」「紅葉」「イチョウ」「菊の葉」などに作られています。

・雲平

紅葉の工芸菓子
 生砂糖よりも硬いお菓子です。寒梅粉と蜜を合わすことで硬さとツヤを出します。工芸菓子によく用いられます。「紅葉」の飾り菓子は雲平でできています。

※他にも干菓子の仲間には、「すはま」や、飴細工に用いる「有平糖(ありへいとう)」、「焼き麩」などがあります。「焼き麩」は餡やゼリーをはさんだり包んだりしてお菓子にします。

木型

抜き型

◆吹寄せ(ふきよせ)

花寄せ
 いろいろな色や形、香りや風味を寄せたものを「吹寄せ」といいますが、お干菓子だけでなく、米粉を使った「京せんべい」を吹き寄せたお菓子もあります。紅葉、菊の花、ひょうたん・・・・。「花寄せ」という名前をつけています。

協力:大極殿本舗・六角店「栖園」 京都市中京区六角通高倉東入る南側

過去の菓子暦へ
7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月6月