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京町家友の会
友の会東京支部

「東京支部例会 2013年9月29日」報告


 9月29日(日)「京町家友の会」東京例会が東京・丸の内の一保堂茶舗で行われました。一保堂茶舗丸の内店は、丸の内仲通りと言う東京を代表するお洒落な通りで、世界を代表する有名ブランドショップが軒を連ねる一角にあります。
 事務局長の小島さんの司会の後、西村会長のあいさつ、出席者14名の自己紹介で和やかな雰囲気で始まりました。小学生の男の子も1名参加しており、将来の会員候補です。
 桧造りの立礼机7台がコの字型に配置されており、各々の席には角盆の上に白磁の急須と小ぶりな白磁のお茶碗3客、銀色の小さな茶筒がセットで置かれ、傍らに時計とポットが置いてあります。一保堂のスタッフのお二人から、一保堂の略歴と、玉露と煎茶の違いについての説明がありました。因に玉露は日よけをして日光を当てずに成育させるのに対して、煎茶は太陽の光を充分に浴させて成育させるそうです。
 透明ガラスの小ぶりのちょこ2つに、冷水で水出しした玉露と煎茶が各々に配られます。初めに玉露を一口含み舌の上に転がすように味わうと、舌の奥の両側にねっとりとした甘さと、お茶とは思えないような、まるで上等なお出しを味わっているような風味が口の中に広がります。次に煎茶を同じ要領で口に含むと、玉露とは違う少しの渋みと、お茶独特の苦味が口に広がり、まさに極上の緑茶の味を味わいました。
 次に温かいお茶を説明に従って入れます。お茶は「甘露」と言う銘の10gの玉露です。「甘露」は一保堂の定価で10g735円で上から3番目の高級なお茶です。卓上のポットの湯は100度近くあり、100ccを3つのお茶碗に順次移し替えて90度80度70度まで温度を下げ、最後に急須に注ぎ込むと、急須の中で玉露の最適温度の60度になり、1分20秒待った後、白磁のお茶碗に最後の一滴も残す事なく注ぎます。
 清々しく美しい緑色のお茶を恭しく頂きます。少しぬるいかなと思う温度ですが、口の中に含むと玉露の香りと甘みが口の中に広がり鼻に抜けて行きます。冷茶の時よりも一層香りが立ちました。私は同じ要領で4煎目まで入れて日本茶の味を堪能しました。本日のお茶菓子は、京都二条の京華堂さんの「初もみじ」と和久傳さんのお干菓子。参加者の皆さんは、口々に感嘆の声をあげられ、まさに至福の時を過ごす事が出来ました。
 1時間半の時間はアッと言う間に過ぎ終了となりました。創業290年近くになる老舗の一保堂茶舗で、日本の誇るべき緑茶に触れる事が出来た今回の企画は、誠に有意義な事でした。
 一保堂茶舗を退出後、丸の内にある明治安田生命館を見学しました。1934年に建てられ、重要文化財に指定されている古典主義様式のオフィスビルは、部屋の内装だけでなく家具も凝ったつくりで、当時の文化的価値の高さを垣間見ることができました。今でも活用がされている素敵な近代建築でした。
福田 健策(京都市中京区)