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京町家友の会

※「京の菓子暦」は、平成14年(〜15年)の取材記事です。
 昔、とはいっても、2〜30年前までは、町内に嫁いで来られたお嫁さんは、きれいな振袖を着てうつむきながら、お姑さんの後ろについて、ご近所に挨拶回りをされていました。その時にいただくのが「お嫁さんのお饅頭」。
 和菓子は京都人の毎日の暮らしに密接に結びつき、生活と心を豊かにしてくれています。毎月のお菓子を紹介しながら、その奥にある京都の知恵と文化を探れたらと思います。



◆蓬莱山
 蓬莱山とは、中国にある不老長寿の伝説の島のこと。その名前をいただいた結婚式の儀式菓です。「子持ち蓬莱」は、子宝に恵まれるようにと、大きな白い上用饅頭の中に色とりどりの小さなお饅頭が入っています。「鶴舞蓬莱(つるまいほうらい)」は、5層の重ね餡が松竹梅を表わす3色の「きんとん」で覆われて、てっぺんには金色の折鶴が飾られています。


子持ち蓬莱

鶴舞蓬莱

※菓子見本帳               
 結婚式などのお祝いごと、あるいは法事などの配り物(おみやげ)のお菓子の見本帳です。お菓子は、「角きり(すみきり)」と呼ばれる角を落とした「杉の折箱」に入れられます。


見本帳

菓子図

菓子図

◆上用饅頭

 薯蕷(じょうよ)饅頭ともいいます。お饅頭の皮部分は、薯蕷芋をすりおろしたものと砂糖、そして上用粉と呼ばれる米粉(上新粉)の中でも一番きめの細かい粉をよく混ぜて、蒸して作ります。もともとは白色だけでしたが、食紅を加えて作る紅色とともに、お祝いごと全般に紅白のお饅頭を用いることが多くなりました。その場合、一般に「紅白饅頭」とも呼ばれます。

 ※薯蕷とは、自然薯(じねんじょ)と呼ばれる、山に自然に出来ている細い山芋のこと。お菓子に使う山芋は、関西地方では、「丸芋」と呼ばれる力(りき)の強い「丹波つくね芋」です。関東では、「大和芋(手の形をした山芋)」、九州では、いわゆる「長芋」を使うことが多いようです。
 

五色上用饅頭

 紅白饅頭は、時には、別名「お嫁さんのお饅頭」。お姑さんとお嫁さんが一緒に結婚の挨拶回りをするときに、黒い塗り盆にのせて、ご近所に配ります。皆さんに早く覚えてもらえるようにと、熨斗にはお嫁さんの名前を書きます。少し格式高いものでは、宮中で用いられる五色の色をした五色上用饅頭というのもあります。

鶴亀上用饅頭

 敬老の日や長寿のお祝いには、鶴亀を模した上用饅頭もあります。鶴は丹頂の頭を模し、丸い紅がのっています。亀は、六角の形に亀甲の焼印が押されています。また、おめでたい「根引き松」の焼印の「蕎麦上用」を加えた五色の鶴亀上用饅頭は、叙勲のお祝いなどに用いられます。

えくぼ
 赤ちゃんのお誕生や、お食べ初めのお祝いには、「えくぼ」と呼ばれる愛らしい上用饅頭が用いられます。「笑顔」と名づけられてるお店もあるようです。
◆お千代宝(おちょぼ)
紅白の和三盆の押し物で、婚礼の引き出物に用いられます。

◆大内山(おおうちやま)

 もとは天皇が住まわれる大内裏を意味する言葉。お祝いに来ていただいた方々に昆布茶と共にお出しする お菓子です。紅白の落雁の中に、日持ちのするように固く練った餡子が入ってます。

お千代宝

大内山
※これらの紅白のお菓子はすべて、向かって右(陽)に紅、左(陰)に白を置きます。敷き紙も向かって右側に赤い色が出るように折って敷くのが決まりごとです。

協力:大極殿本舗・六角店「栖園」 京都市中京区六角通高倉東入る南側
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