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五月は一年のうちでもっとも気持ちのいい季節です。「風薫る…」という表現は字も良し響きも良し、思わず体が躍動するような爽快感を覚えます。そのさわやかな五月の空は澄みきった青空が広がり、少し目を下げるとまばゆいばかりの新緑の木々、その中にひときわ鮮やかに翻るこいのぼりの親子たち。絵に描いたようなこの光景は、私たちに日本人としての喜びと郷愁とを呼び覚ましてくれます。このごろの街中にあっては、このような風景はもはや見ることはできませんが、少し郊外に足を伸ばすとわずかに散見することができます。私はこいのぼりが風を一杯に吸い込んで大空を悠々と泳ぐ様を見てるのが大好きであります。 ![]() |
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そういえば今、街角や学校に立っているわけのわからぬ形の記念碑やモニュメントなるものは見ていても何の感動も示唆も受けません。あれがわかるのは数万人に一人の芸術家くらいのものでしょう。まして子供の心に残るものがあるのでしょうか。やはり二宮金次郎さんの像を見て勤勉の精神を学び、高山彦九郎の姿を見て幕末志士の情熱を学ぶのです。
家々のお座敷に堂々と鎮座される大将さんを見て、子どもたちは「男子かくあるべし」と心の奥に深く刻み込んできたのです。こういう無言の教育が端午の節句であったと思います。現在は個性の尊重や、男女平等などの風潮からどんな生き方をしても良い時代です。その自由が、逆にどう生きたら良いのかわからず、若者たちを苦しめているのも皮肉な事実です。まずはお座敷と床の間という無駄な?空間の復活から始めたらいかがでしょう。よそのお家に行くと床の間に箪笥や収納家具が鎮座ましましていることも珍しくありません。あまり物を置かないすっきりした部屋もひとつくらい必要ではないでしょうか。きっと大将さんも出番を待っておられるに違いありません。 今はどのくらい歌われているか知りませんが、こいのぼりの歌も男子の成長に必要な徳目が込められています。最後にこの歌を味わって日本男児の意気を取り戻したいと思います。 |
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(2006.5.1) |
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