• 京町家net ホーム
  • サイトマップ
  • アクセス・お問い合わせ
京町家友の会

京町家での「暮らし」を軸にして利活用を考えよう


様々な町家を町歩きしながら巡るツアー「住みたい町家を探しに行こう」
 京町家情報センター事務局員として、2011年辺りから活動に参加し、京町家を売りたい・貸したい方、買いたい・借りたい方をつなぐお手伝いをしてきましたが、それに伴って、京町家へのニーズの動向の様々な変化を見てきました。
 
 京町家を活用したカフェ・レストラン、東北震災後には体に優しい素材・暮らしへの関心が一時的に高まり京町家に移住を希望される方、関東や海外の方からセカンドハウスとしての京町家、若い世代に向けた京町家でのシェアハウス、DIY・空き家対策による京都の改修可能な空き町家へのお問い合せ・・・と社会の情勢と共に京町家への関心も様々な方向から寄せられてきています。
 
 中でも、ここ1・2年の大きな関心が、ゲストハウス・一棟貸しなどの宿泊施設として京町家を活用したいというお問い合わせは、非常に多いです。このところ、京町家情報センターで京町家物件を探しているというお問い合わせの中のほとんどが宿泊施設として活用したいというものです。実際に、京町家を活用した宿泊施設はすごい勢いで増えてきています。これは、海外からの観光客が激増していること・日本全体が観光に力と入れてきていこうという意思を示していること・2020年の東京オリンピック開催に向けての期待・収益性などが、大きく影響をしていると思われます。
 
 しかし、多くの京町家が宿泊施設として解体されることなく活用される反面、この動きには京町家の保全再生を目的として活動する我々にとっては、喜ばしいことばかりではありません。京町家の建物には、これまで京町家で暮らす中で文化や伝統が蓄積されています。その文化・伝統を感じる宿泊施設として謳っていますが、中に入ると現代の建物と同じように改装されたものもあります。旅行に来た時ぐらい、本物の京町家の暮らしを感じる時間としても良いのではないかとも思います。町内との関わりもどんどんなくなってきます。京都の人の気質を作ってきたであろう町内での関わり方や地蔵盆などの文化もなくなっていくことでしょう。
 
 また、もう一つ問題として、宿泊施設としての京町家の活用が色々なところで言われることで、京町家(京都の土地)の価格・賃貸物件であれば家賃がこのところ異常に高くなってきています。京都に住む方が、京町家に住めない。京都で京町家を買えない・賃貸物件も居住用で借りることが出来ない状況になっています。京町家に住みたいが、京町家を避けるような考えをお持ちの方も出てきているように感じます。
 
 京都市もこれから観光と前に出して政策を進めるようですが、そこに暮らす人にとっては、暮らしにくい状況を作ってしまうのではないか心配されます。観光という観点からも考え方の切り口を少し違う見方で進めなければならないのではないかと思います。訪れた町を歩きながら、その土地に住む人々の生活の様子・文化を感じることを一つの大きな目的として観光される方が多いのではないでしょうか。そこで出会ったそこに住む人とのちょっとした関わりで感じた生活・文化が景色となり、思い出となるのではないでしょうか。このままでは、京町家によって守られている他にないその生活・文化のない京都になってしまうのではないだろうか。京都が京都であるための一番大切なことだと思います。
 
 我々の京町家保全再生の活動も、より一層、京町家に住まいとして住み継いでもらうこと・京町家での暮らし・文化の保全再生について、力を入れていかなければならないと思います。これからは、畳・床(トコ)さえもない家で生活をしてきたような世代がやってきています。今、皆さんで京町家の本当の価値・文化を伝えて頂かなければ、本当になくなってしますよ。これには、今現在、京町家で暮らし、文化を繋いでおられる皆さんが楽しんで発信していくことが大切だと思います。今後ともご協力をお願い致します。

町家の日制定について
京町家情報センターでは、3月8日を「町家の日」と一般社団法人日本記念日協会にて登録し制定させていただきました。
日付については、色々と議論の上、「March8」→「マーチ ヤ」ということで、3月8日に決めました。
町家の中に蓄積されてきた暮らしと建物の知恵や工夫を再認識し、町家の伝統的価値とその素晴らしさを多くの人に広め、町家の保全と再生を図ることを目的としています。
今後、3月8日は「町家の日」として全国にもお呼びかけして、町家に関わる皆さんに認識してもらい、イベントも開催していきたいと考えております。