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京町家友の会


手で書いてほしい
 この頃、コンピューターが当たり前になってしもて。手で字を書く人がすくのうなって、来る手紙、来る手紙、みんなプリンターで印刷したもんになってる。たまに手書きの表書きがあると、なんやろと思てしまうほどめずらしなった。字がきれいにかけるとか、きたない字やとか、いわれへんようになった。いいことかもしれへんけど、字を書くのて、大事なことと違うのやろか。
 子どもの頃、自分の名前ぐらいちゃんと書けんとはずかしいえ、といわれて、お習字のお稽古をした。それが普通やった。だれでも子供時分にいっぺんぐらいは筆をもってお稽古をしたのとちがうやろか。いまはせいぜい小学校の授業にちょっとあるくらいかなあ。
字は上手下手があるといわれるけど、私は丁寧に書くか、ぞんざいに書くかやと思う。もうひとつは、慣れているか慣れてへんか。書きなれた字はそれなりに読みやすいし、形も整うて。そやけど、最近はみんな手で書かんと、プリンターさんが書いたはる。それでは慣れるも慣れへんもあらへん。
 字を書くのはじゃまくさいことかもしれへんけど、やっぱり手で書いてこそやと思う。ワープロで書いてたら、どんどんと退化していくことがある。漢字は忘れるし、簡単な言葉まで出てきいひんようになってしまう。どんなこと書いてたやろと思うことが多なってしもたし。ずぼらするとあかんなあ。
 近頃のプリンターさんは字が上手で、どんな字でも書いてしまわはる。そやけど、自分の手で書いてこそ、ちゃんと人に伝えることができるのと違うやろか。字がへたやし、ワープロでて言わはる人も多いけど、へたはへたなり、ていねいに書いたらええのに、くちゃくちゃと書いてしまうしあかんのや。
 せっかく親からもろた手やのに、使わへんかったらもったいないなあ。

2006.10


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