• 京町家net ホーム
  • サイトマップ
  • アクセス・お問い合わせ
京町家再生研究会

地域との連携―明倫学区のまちづくり

(京町家再生研究会 幹事会) 
 京町家再生研究会のある明倫学区は、明治2年に設立された「下京三番組」小学校を前身として、平成12年に統合されるまでの「明倫小学校」の校区域です。小学校は統合され校区は大きくなりましたが、自治連合会の組織は今も元学区を単位としています。

 明倫学区は祇園祭に13の山鉾を出す伝統のある地域で、かつては職住一体のまちでしたが、近年、マンションが急激に増え、景観問題や新しく入居された方々との共生をどのように図るかが自治連合会の課題となり、約6年前にまちづくり委員会が発足しました。本年、まちづくりに関する目標と方針を地域協働型地区計画として定め、住民同士が自分たちの住むまちをどのようなまちにしていきたいか、主体的に考え取り組んでいくことにしました。現在は、祇園祭山鉾巡行のときに帰りの鉾がすべて通る新町通りの修景を進める「鉾のみちプロジェクト」や、地域の人に昔の明倫学区のことや商家の伝統などを話してもらう「明倫夜話の座」などに取り組んでいます。新旧の住民や地域で働く人がともに地域の個性を大切にしながら、まちづくりに参加していくことを目指しています。

 明倫学区の人口、世帯は平成2年頃までは減少していましたが、平成7年以降、急激に増加(学区単位で京都最高の伸び)、平成17年には昭和40年代の人口に回復しています。世帯数の増加も著しく、現在は昭和40年代の約2倍になっています。しかし、一世帯あたりの人口は1.8人と少なくなっています。男女とも20〜30歳代の若年齢層の増加が目立ち、50歳代や4歳以下の子どもたちの増加も著しく、これらのほとんどは共同住宅居住者と見られます。まちの中は長期的な和装・繊維業界の低迷により卸売業の販売額が減少し、平成9年以降は小売業と逆転しています。また、飲食店やサービス業など、新しい業種の事業所がどんどんと増加しているのが現状です。

 明倫学区のまちづくりでは「祇園祭を受け継ぐ風格のあるまち、商いと暮らしが響きあうまち 明倫」の実現を目指したまちづくりを進め、今後もこのまちづくりの進展を図るために地区計画の目標を以下のように定めています。

(1)地域の愛着と誇りを持ち、文化が薫るまちの個性と魅力を高める
(2)商いと住まいの共存を図り、風格のある美しい町並みをつくる
(3)だれもが安全・安心に暮らせ、交流豊かなコミュニティをつくる

 京町家再生研究会は明倫学区のまちづくりに参加し、いまも学区に多数ある町家の保全再生を中心に、まちづくりの活動に係わっていくことになりました。地域との連携で、町家再生、町家街区の再生など、点から線、線から面へと今まで以上の広がりを持たせていくことが期待されます。おりしも、明倫学区にある祇園祭八幡山の町会所改修に作事組が携わることになりました。祇園祭、町家、街区、それぞれ、専門性の高いテーマではありますが、京町家再生研究会の15年の活動の積み重ねを生かし、よりよいまちづくりの連携ができるようにと望んでいます。

 11月17、18日の両日は都心9学区の「まちなかを歩く日」が開催されます。明倫学区でも様々な催しが企画されています。京町家再生研究会・作事組も、八幡山、本部を基点に町家再生の現場見学会、相談会の計画を立てています。

 職住共存のまち「明倫学区」、町家とマンション、伝統産業と新しい事業、人口の急激な増加、都市に起こってくる様々な問題を凝縮したようなまちなかのまちづくり、様々な分野での協力体制を作っていきたいと思っています。

2007.11.1