京町家再生プロジェクトは2009年秋にWorld Monument Fund(以下WMF)のWatch List に京町家の再生が選定されたことにより、立ち上がったプロジェクトです。 翌2010年春にはWMF、フリーマン財団の支援が決定され、プロジェクトの大きな事業である、釜座町の町家改修工事が同年6月に開始されました。 このプロジェクトは町家再生の更なる広がりを目指しており、その第一歩として、釜座町の町家改修に取り組みました。 完成後は、作事組の事務局を置き、町家再生の実践をさらに進めること、また京町家ネットの拠点として、町家にかかわる様々な相談対応にも積極的に取り組むことが期待されています。 改修にあたり、再生にかかわる様々な事象を映像に収め、現場の技術や工事の推移を記録し、今後の改修のための参考となるように編集し、公開することも今回の取り組みとなっています。あわせて写真も多く撮影し、これからの改修の手引きとなるよう順次発表をしていきます。 竣工の際には、写真展を開催し、改修工事の流れを紹介することとしています。 プロジェクトの目的として、次世代への継承を大きなテーマとして掲げました。そのために、釜座町の現場では多くの人にかかわっていただくために、様々な催しを計画しました。工事中の土壁やたたきの体験会を始め、デザインコンペ、現場見学会などに小学生や学生の参加があり、熱心に作業にかかわってくれたことは、関係者の励みにもなりました。 改修後の運営については、まだまだ検討すべきことがありますが、町家再生の拠点として活発な動きができるように関係者が努力をしていきたいと思っております。 ●釜座町町家(ちょういえ)改修にかかわる各種事業 2010年4月、釜座町町家の改修に対するWMFによる助成が決定されたことを受け、様々な取り組みがスタートしました。そのいくつかをご紹介します。 ■「釜座町町家改修プロジェクトチーム」 釜座町の町内会のなかに「釜座町町家改修プロジェクトチーム」が設立されました。改修内容や工事及び賃貸契約等の検討や折衝その他、町家にまつわる様々な事柄を検討し、実行していくためのチームです。 ■プロジェクト会議、報告会 このチームを中心に必要に応じて関係者が集まり釜座町町家改修プロジェクト会議及び、報告会などが開催されました。事業に関わる参加者として、京町家作事組からは改修工事を担当する設計・施工担当者、賃借人としての作事組担当者、WMFとの窓口を担う京都市景観・まちづくりセンター担当者、WMFに関連する様々な事業にかかわる京町家再生研を中心とする関係者等が集まりました。工事契約まで3回の会合がもたれ、工事中には適宜報告会及び会合が開かれました。 ■「釜座町町家再生通信」vol. 1〜10 事業の進捗や会合の内容を町内の住民全員に報告し理解を得るため「釜座町町家再生通信」が発行されました。改修工事が始まってからは、紙面の半分(裏面)は、工事を受け持つ京町家作事組が担当し、工事の進捗の報告や「木舞掻き・荒壁塗り」「三和土づくり」体験会へのお誘いや結果の報告、各種見学会の報告などが掲載されました。 ■住民参加企画 改修工事中に、町内の皆様にご参加いただける企画として、『工事説明会&木舞掻き・荒壁塗体験会』、『三和土づくり体験会』を開催し、町内及び近隣の皆様、特に子供達にも大勢参加いただきました。 ■見学会 町家再生の拠点としての活動は、改修工事にかかる前から始まり、工事中見学会が多数開催されました。 6/1〜3:オープンハウス(楽町楽家) 6/4〜6:SDC町家改修コンペ展(楽町楽家) 7/10:見学会 京町家再生研究会・SDC 7/10:見学会 棟梁塾・作事組 7/23:見学会 設計施工交流会 9/ 4:見学会 古材文化の会 10/ 3:見学会 京町家友の会(SDC)、京町家情報センター、京町家再生研究会
●これからの京町家再生プロジェクト 改修後の催し ■完成披露のお茶会:町内の拠点として 11月12日にはWMF助成事業に関連する写真展と完成披露のレセプションが開催されますが、それに先立ち、「釜座」の名のとおり、古くからお茶事の釜を制作してきた町内ならではの催しとして、釜座町町内会によるお茶会が開催され、WMF関係者をお招きし、町家改修への助成にたいする感謝の気持ちを表すこととなっています。 完成後は、京町家ネットの活動拠点として京町家再生のために活かされるだけでなく、釜座町の住人のコミュニティーの拠点である町家(ちょういえ)としての役割も期待されます。 ■写真展
■釜座町町家オープンハウス
■シンポジウム「京町家の町家を活かして」
■シンポジウム「京町家の再生」(仮)
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