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京町家再生研究会
京町家再生研究会 活動報告

京町家親子体験教室



7月からスタートした京町家親子体験教室の第4回目の講座が終わった。京都市内の様々な小学校から7組の親子が参加し、楽しい2時間を過ごしている。京町家親子体験教室は、京町家を会場に京都の伝統的な生活文化を親子で学び、楽しむことで、京町家への関心を深めてもらうために、7月から1月までの全7回の講座を企画した。目的は以下の2つである。

@ 季節ごとに住まいを整え、しつらえることを学ぶ。季節のお菓子をいただきながら、歳時記を知り、京町家の生活を体験する。日本の四季と行事のつながり、その根元にある日々の生活、その器として京町家があることを体験して理解してもらう。

A 京町家を支える伝統的な建築工法のうち、土壁の塗りやべんがら塗りを体験し、京町家を身近に感じるきっかけをつくる。


7月:京町家のお話(今月のお菓子:葛焼き / 場所:本部小島家)

 小島家で祇園祭のしつらえを拝見。京町家は季節や行事によってしつらえを変えるというお話をし、参加親子にお客さんとしておもてなしを受ける体験をしてもらった。ほとんどの子どもたちは初めて京町家に入り、屏風や緞通でしつらえられた美しい室内に圧倒されながら、お抹茶とお菓子の接待を受けた。「どうやってお抹茶を飲むの?お菓子はどうやって食べたら良いんやろう?」とお互い顔を見合わせながら、緊張した面持ち。別世界にきたような気持ちになったようだった。



8月:町家の掃除体験( 網代・籐筵の雑巾がけ、土間を洗うなど)
(今月のお菓子:くず桜 / 場所:本部小島家)

 うだるような暑さの中、掃除体験を行った。掃除につかう道具として、手ぬぐいが雑巾に、絹の着物が長襦袢やお布団の生地を経てハタキになるという「しまつ」「もったいない」の考え方をお話しする。その他にも、掃き掃除にはお番茶のお茶殻を使うこと、網代を拭くときには方向を考えることが必要ということを体験してもらう。子どもたちは、感心したり、驚いたりしながら、掃除には身体と頭をつかうことが大切だということが体感できたようで、「楽しい!」と始終満面の笑みだった。



9月:べんがら塗り体験
(今月のお菓子:豆餅 / 場所:Arisa House Museum)

 洗い職人の神門幹典さん(洗い屋神門)を講師にお迎えし、振本ありささんの京町家Arisa House Museumで、べんがら塗りの体験を行った。はじめてみる柿渋や塗料をまえに、おっかなびっくりの様子。神門さんのお話を興味津々に伺った。その後、実際に、Arisa House Museumの出格子の枠で、べんがら塗りの作業を行った。まずは神門さんが出格子の色と今回塗るべんがらの色を合わす作業を拝見。調合されたべんがらを容器に分けてもらい、ハケで塗る作業を始めた。それまでは神門さんに質問したり、柿渋の独特の匂いに「くさい!」と声をあげていた子どもたちも、ハケを手にした途端にすっかり静かになって、数十分、どうやったら上手に塗れるのか、ムラにならないようにするにはどうしたらいいのか、遠くから眺めたり、工夫をしていた。おやつの時間には、振本ありささんから「アメリカのボストンにあるチルドレンズミュージアムにある町家のように、いろんな人が集い、町家の生活文化を気軽に楽しむ場所にしたい」という思いを聞かせていただいた。



10 月:土壁塗り
(今月のお菓子:栗餅 / 場所:あけびわ路地)

 左官職人の萩野哲也さん(さくあん)を講師にお迎えし、土壁塗りの体験を行った。さくあんさんが持ってきてくださったパネルを使い、土壁のなかでも、中塗りの3種類の土を使わせてもらった。「どうやってするの?どうやって持つの?」と道具を持っても尻込みする子どもたちの問いかけに「ほら、みて。こうやって持って、こうやって塗るんや。やってみて」とさくあんさんのこたえに大騒ぎしながら体験開始。始めはパネルにくっつかずに剥がれ落ちる土壁と格闘。どうにかパネルにくっつき始めると、時間も忘れてどんどん塗りが進んだ。それぞれの個性が光る土壁塗りに大人もついついやりたくなる。子どもにやっと交代してもらって、大人も挑戦させてもらった。土壁塗りの体験は、見よう見まねで真似して習う大切さを体感する経験となった。





<惣司めぐみ(京町家友の会)>

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