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京町家再生研究会
小島 富佐江(再生研究会理事長)

初夢

 新年あけましておめでとうございます。

 本年も研究会の活動にご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 昨年は2月の東京シンポジウム、祇園祭、不動産相談事業、勉強会など、町家にかかわる様々な活動が出来ました。また多くの方々とのお出会いもありました。町家に住む、町家で何かをするということが、私たちの考えている以上に大きく広がり、沢山の方々を京都へ惹き付けている一因になっていることにも気づきました。特に東京で開催した情報センターとの共同事業である相談会には多くの方が参加され、熱心に相談をされているのを目の当たりにし、びっくりした次第です。研究会が設立された頃には考えられなかった光景でした。 住みたい方、町家でお商売をしたい方、活用を考えていらっしゃる方、多様な考え方があるのだということも理解しておりますが、どこまで現実として見えてくるのか疑問も持っておりました。次々と現れてくる借り手の方々にこちら側もしっかりとした情報を持っていないと太刀打ちできないと思っております。今年はこのようなことが、ますます活発に動くのだろうと考えています。

 昨年、本部の近くにホテルが開業し、新町通りの人の流れが変わりました。日本の方だけにとどまらず、様々な国の言葉が聞こえてきます。錦市場は観光客で満員、あちこちから中国語や英語、聞き慣れない言葉もたくさんあります。いつからこれほどに外国の方々が増えてきたのか、気がつけば界隈のお店でも出会うようになりました。国際化というのはこのようなことからも始まっているのでしょうか。昨年、京都市はアメリカの旅行誌で一番行きたい都市に選ばれたと聞きました。その影響がでているのか、あちこちで出会います。京都がなぜそこまで?と普通に住んでいる私たちには不思議なことです。その中には町家も貢献していると聞いております。喜ばしいことではあるのでしょうが、そんな中でも日々町家は数を減らしています。この流れが町家の減少の歯止めになることを願っています。

 そんなこんなで「町家の活用」は盛んになってきていますが、その中身はどうなのでしょうか?昨年から再度「美しい町家」をもう一度考えてみようとしています。町家を再生するということはどのようなことなのか、どのようなことを大切に守らなければいけないのか、何を残して、何を新しくするのか、取捨選択を誤ると町家でなくなってしまうこともあります。

 20年を超えた活動の中からみえてくること、経験則をまとめてみたいと考えています。町家が改修され、住まい、店舗、宿泊施設など多様な使い方がされていますが、その改修が本当にその町家にとってよかったのかといえば、首を傾げるものも少なくありません。木造の建築のルールやマナーがまだまだ整備されていないのが大きな原因だと感じます。

 勿論、防火や防災、構造等、多くの場で議論はされていますが、本当に町家のための議論になっているのか、次の100年を見据えた改修が行われているのか、再度問い直していきたいと思っています。

 恒例の初夢です。

 京町家再生研究会は町家の国際シンポジウムを開催し、アジアの木造文化を持つ国との連携をはかるために今後相互に技術者を交換し、お互いに更なる木造文化の継承を目指すことを発表しました。事務局スタッフを増強し、アジアのメンバーとのやりとりに明け暮れています。

 技術者を各国に派遣するために、作事組では技術テキストの翻訳を始めるべく準備をしています。近頃はインターネットで簡単に連絡が取り合えるので、相互の文化を知るための事前学習等にはとても便利です。

 アジア諸国にはまだまだすばらしい木造の文化があり、学ぶことはたくさんありそうです。一方、木造の保全に関しては日本、特に京都の町家再生をはじめとした技術に多くの興味が注がれています。

 国際シンポジウム開催を記念して、多くの学生が集い、学ぶ場を再生研究会が提供することも決まっています。京都の町家を学びの場として、国際的な取り組みが始まります。将来的には定期的な情報交換の場をつくり、木造文化の将来を参加者の組織が連携をとりながら見守ることになるでしょう。その中心を担うのが京都です。

 学びの場を提供できる方々、その運営を担ってくださる方々を広く募りたいと思っています。

 さあて、いつのことになりますやら。

2015.1.1