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京町家再生研究会
京極 迪宏(第2回全国町家再生交流会実行委員会代表)

「第2回全国町家再生交流会」無事終了
 「第2回全国町家再生交流会」は、北海道・函館から九州・八女まで、全国からの仲間250名が参加して、12月1、2日に北野の上七軒歌舞練場を主会場に開催されました。初回を京都芸術センターで行ってから早2年半が経過しましたが、多くの団体が新たに集い、全国各地で取り組まれている「町家再生」の活動を検証し、共通課題を見出して協働を進めていくために熱心な意見交換が行われました。参加者全員が、ネットワークの広がりと強い絆が結ばれていくことを実感しています。


上七軒歌舞練場で熱心に視聴する参加者(写真:堀内健)
 京都での最初の試みが全国に引き継がれていくよう期待しましたがその兆候が見られず、「もう一度京都で頑張ろう」ということで準備を始めたのは2006年の11月でした。12月には京町家ネット4会から13名が選ばれて実行委員会が組織され、企画の検討に入りました。以後、実行委員会は開催までの1年間、13回に及んでいます。今回共催の京都市景観・まちづくりセンターの担当者にも、9月から実行委員に加わっていただきました。そして交流会当日には、京町家ネットの一般会員の多くが裏方として運営に協力しました。

 プログラムは、講演、各地の取り組みの報告、それを受けたシンポジウム、改修例と改修工事現場の見学会、分科会、懇親交流会等、第1回とほぼ同様でした。今回の特別プログラムとしては、初日冒頭、各地からの参加者が強い関心を抱く「京都市の新景観政策」に着目して、「京都の歴史的景観の変遷」を最新のCG技術を駆使した映像で見ていただきました。京町家ネット4会が担当した5つの分科会では前回の討議を踏まえて、活発な意見交換が行われました。内容詳細につきましては、後日の報告を待ちたいと思います。

 第2回交流会の成果、課題等につきましては、今後検討を深めていかなければなりませんが、成果のひとつは懸案となっていた次回開催を金沢が承諾されたことです。金沢は歴史のある中核都市であり、「金沢町家」も多く残っています。些か行政主導の色彩が濃厚と言えるでしょうが、町家再生の各種の試みがなされており注目されています。「第3回交流会」の開催が大いに期待されるところです。まだ感想の域を出ませんが、今回の交流会で明らかになったのは以下のようなことでした。
歴史と文化が蓄積した「町家再生の運動」は、持続可能社会の新しいまちづくりの重要なキーワードである。
町家再生を巡る状況と課題について、全国に共通するものと都市規模に特化したものを明確に判断する必要がある。
各地で取り組まれている活動を更に進展させるため、縦・横・斜のネットワークを一層充実させていかねばならない。
行政との連携、職能団体との協働を進めていく中で、市民活動が主導できるか、あるいは主体性を維持できるか。
市街地活性化の名の下に、町家が持つ本来のあり方が無視され、商業転用が偏重され過ぎているのではないか。
政府、行政主導で観光振興政策が進められているが、物販、飲食、宿泊等の商業転用の流行が歪んだ町家観光をもたらすことが危惧される。

ア ピ ー ル

 職住一致あるいは専用住宅として住まい続けられてきた町家は、地域の特徴ある暮らしと文化が凝縮した市民共有の歴史的資産です。それにも拘わらず、第二次大戦後の偏った経済優先思潮は、町家を過去の遺物であり無価値なものとして扱ってきました。取り壊された町家の後に建った国籍不明の現代住宅は、私たちが長年に亘り培ってきた歴史、暮らし、文化を葬り去り、町並みを混乱させています。
 しかしながら、高度成長が終わり、人に優しく持続可能な社会が求められる今、それを象徴する町家に対して、市民の熱い視線が注がれるようになってきました。
 私たちは、第2回全国町家再生交流会にお集まりの皆さんや我われの活動に賛同される方々と手を携えて、地域独自の歴史と文化を掘り起こし、再創造して新たなまちづくりを進めていくために、町家を保全・再生、利活用する運動に取り組みます。私たちはこの運動を広めるため、この交流会を継続的な組織として立ち上げ、全国の仲間に働きかけて町家再生ネットワークの輪を一層広げていきます。

 
2007年12月2日 第2回全国町家再生交流会参加者一同 


2008.1.1