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京町家作事組
第116号(2017年7月8月)

◎7月の報告

3日(月) 文化財防火・市民講座
3日(月) 役員会
14日(金) 理事会
17日(月祝) 祇園祭前祭巡行
24日(月) 祇園祭後祭巡行
28日(金) 理事会

◎8月の報告

2日(水) 京都工芸繊維大・デルフト工科大学見学来訪
18日(金) 松江市市議、まちづくり関係者来訪
18日(金) 理事会
22日(金) 町家住人の座談会
31日(木) 東山三条の町家工事中見学会

◎9月の報告

3日(日) 京町家新条例の実現に向けてのシンポジウム
4日(月) 役員会
8日(金) 理事会
11日(月) 北海道教育大学地域政策専攻生見学来訪
20日(水) 京都アメリカ大学コンソーシアムKCJS 同志社大学 見学来訪
22日(金) 鷹山復興木部ワーキング部会
22日(金) 理事会


煙体験ハウス

表具の素材 彩 金襴緞子 布海苔

明治古都館 内部漆喰壁

京都工繊大・デルフト工科大
左官研究ワーク
[第35回京都市消防局 文化財防火市民講座]
 7月3日(月)京都市消防局文化財防火市民講座に参加しました。作事組事務所の近隣で火災があり、蚊取線香を使うにも一抹の不安を感じていたところ、ちょうど京都国立博物館開館120周年共催事業で文化財防火がテーマの本講座は好機と思い、文化財の見学にも期待しつつ参加させていただきました。
 消防局の防火の取組みと統計資料から見える成果と課題、世界のレジリエントシティの紹介の後、京都国立博物館学芸部保存修理指導室長の大原嘉豊氏の講話がありました。温湿度の変化が激しい日本では、紙や絹などの脆い素材からなる表具類は吸湿性が高く、4月に気温が高くなり湿度が下がると障子紙が割けることもあります。天然の断熱材である土蔵の内部は約70%で安定しており、さらにいうと指定文化財は保管に最適な湿度60%の収蔵庫に保管するのが基本で、気候のよいときに曝涼し、カビが生えていないか定期点検をし、百年に一度は修理が必要となります。こうした経年による風化対策のほか、防火対策も大変に重要で、燃えてしまえば修復のしようがないし、放水してしまうと繊維の膨張収縮で絡まり、復元困難となるため、展示室には、窒素を充填し酸素濃度を21%から16%に下げ、酸素が燃えることが出来ないようにするシステムが導入されています。
 講話の後はいよいよ文化財修復の現場見学です。見学の際に文化財修理保存所で実際に修理されていた宝物から研究員の方が三つ選んで説明してくださいました。一つは宮城県高蔵寺の阿弥陀如来像の蓮台で、1920年に修理した記録が残されていたものの、東日本大震災で損傷を受け、修復のため現地へ向かったところ、台座と膝がお堂の開口部より大きく、高さ2m70cmの像を斜めにしてなんとか運び出せたとのことでした。二つ目、というと齟齬がありますが、三十三間堂の千手観音座像と千手観音立像は、1001体のうち994体まで修理が済み、50年前に修理した1〜10体がまた壊れて修理時期に差し掛かっている状況で、常に修理は続き、文化財修復に終わりはないと研究員の方が幸せそうに語っておられて、とても充実したお仕事の様子がうかがえました。三つ目は知恩院の秘像「徳川家康座像」です。いま知恩院大殿が大修復中であり、この機を逃すと徳川家康公はさらに褪色し続け、次にふたたび見られるのは100年後となるかもしれない。そうした覚悟をもって研究員の方が説得に臨み、修理に漕ぎつけたというお話しも披露され、文化財修復への情熱が伝わってきました。
 徳川家康公は鷹狩を極め、養生法の域に高めていたといいますが、精悍な面持ちの家康像が東山で修復されるのと軌を一にし、中京では祇園祭鷹山のご神体の一である鷹狩の名手在原行平の人物像を浮かび上がらせようという研究会に参加させていただく機会があり、世界に広がる鷹狩文化をもつ人々との交流の一助にもなるのではと想像が膨らみます。
 話が逸れましたが、町家も本来100年単位で長持ちし、再利用が可能な自然素材でできていますので、常日頃から火の取り扱いにはくれぐれも注意しつつ、経年による修理のご相談、適切な維持管理のための定期点検などに作事組をご活用ください。町家の所有者が主屋とともに蔵を維持していくご苦労は並大抵ではありません。作事組でいま改修工事を担当させていただいている東山三条の町家の、主屋、蔵ともに再生された姿を一般の方に見ていただくための見学会を10月15日に行いますので、ぜひ多くの方にご来場いただければと思います。
 

蔵の修理
[東山三条の町家見学会]
 8月31日(木)、東山三条の町家にて工事中見学会を行いました。主屋の工事はほぼ完了し、土蔵と納屋の構造改修中です。土蔵の最上部の台輪が傷んでおり高所で土の塊をつける作業が必要でした。土蔵、納屋、水回り棟の足元の傷みは根継で修繕されています。2階の縁側のすぐ傍まで枝の松葉が届きそうな松の木や巨大な真黒石のあるお庭も見事ですし、見どころの大変多い広々としたお住まいです。かつてこの建物は、食通で有名な池波正太郎はじめ著名人が集まり、料理を楽しんだというお話しもありました。10月に竣工を迎え、4月からはギャラリーとしても利用されるとのことで、とてもすばらしく、作事組一同お施主様に大変感謝しております。
 

立命館JICA研修
[京町家体験講座のお知らせ」
 これまで京町家にあまり馴染みのなかった方々にも様々な角度から京町家に親しんでいただける「京町家体験講座」を開催します。
 第1回10月15日の東山三条の町家竣工見学会を皮切りに、11月3日(金祝)は新町通りの町歩き、12月2日(土)には京都天狼院書店にて大工さんのトークショウを行います。またお茶碗や鍾馗さん作りなども予定しております。詳細は別紙をご覧ください。お知り合いの方にもご紹介いただけると幸いです。

「京町家体験講座」についてはこちら

京町家作事組事務局 森珠恵




祇園祭巡行 大船鉾

釜座町 地蔵盆

工事実績: 244件
相談件数: 648件
('99年〜'17年7月31日現在累計)

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