大工 秋田 茂喜 斎藤 優介 |
京町家のトオリニワは、屋根まで垂直に立つ通し柱が、半間おきに一定のリズムで整然と並んでいる姿が、ダイナミックで美しく印象的です。しかし、井戸や流しの後ろ側は腐朽しやすいため、側柱を腰のあたりから下を高礎石にして、その上に井戸引と呼ばれる横架材が入れられています。時代が新しくなると耐水性を持たせようと、高い礎石のかわりに、レンガやブロックを積み表面にモルタルを塗る方法が多く見うけられるが、それらは吸水性がある材料であることと、流し等の背面になり通気も悪く、解体してみると、湿気や蟻害により逆に井戸引が腐朽していることもよくみられます。
C邸も例外ではなく、キッチン等の裏側の腰のモルタル塗りを撤去すると、2間もの井戸引があらわれその下はレンガ積みとなっていましたが、蟻害により耐力がなくなっていました。そこで、既存の7寸背では少し頼りなかったため、9寸ものに変更し入れ替え、構造改修をして軸組を健全化しました。
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井戸引きのシロアリにはドン引き |
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