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'10 楽町楽家 トップ イベント日程 ▼報告 イベント詳細
楽町楽家'10 報告

 今年で6年目となる「楽町楽家」は5月15日(土)〜6月13日(日)の1ヶ月に亘り催しましたが、おかげさまで大盛況のうち無事に終えることができました。
会場としてご協力いただいた町家の方々、催しに参加していただいた方々、ご協力、ご賛同ありがとうございました。

【報告】『いしいしんじ VS 松井薫』 町家対談・その2 こちら >>

【報告】『いしいしんじ VS 松井薫』 町家対談・その1 こちら >>

【報告】「第6回スペースデザインカレッジ町家改修コンペ」 こちら >>


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楽町楽家を終えて渡邊 亜希子   京都市北区「手しごとの店 工藝百職」

京都市北区「手しごとの店 工藝百職」

はじめまして。今回「楽町楽家」に初参加の「手しごとの店 工藝百職」と申します。
 若い作り手たちの工芸・クラフトの器や家具、生活雑貨を扱う当店では、『工芸・クラフト』にひと味違う要素をプラスαしたイベントを企画し、5/22〜5/28「うつわをつくる。古い道具と暮らす。−奥主悟陶展−」(米粉の焼菓子販売イベント併催)と、6/5〜6/13「古い家具のリメイク展−かたちを変えて残す思い出−」(トークイベント併催)を開催しました。
 5月の奥主悟陶展では、南丹市園部町の古民家で半農半陶の暮らしを送る、陶芸家・奥主悟さんの作品展示に加え、この店の町家空間の雰囲気を活かし、奥主さんご自身が身の回りに置く愛すべき古い道具たちの展示と、併催イベントとして、移動カフェを営む奥様の奥主菜美子さんの「米粉スイーツ店頭マーケット」を土日限定開催しました。米粉スイーツ販売は、開店前から並ばれるお客様もいらっしゃり、陶芸家・奥主さんが自らオーガニックコーヒーを淹れ、自作のカップで訪れたお客様に振る舞うサービスもとても好評でした。うつわを愛でるお客様。店の坪庭を眺め、古道具の小さなちゃぶ台を囲むお客様。織屋建の高い天井を珍しそうに見上げながら、購入したお菓子をその場で召し上がるお客様・・・。少し不便な当店にわざわざ足を運んでくださったお客様も、ゆったり寛いだ時間をお過ごし頂けた企画展だったのではないかと思います。
 原稿を書いている現在は「古い家具のリメイク展」を開催中で、週末にはトークイベントを行い「人が集う空間」としてまた違う発見ができればと期待しています。
 顔なじみの顧客様はもちろん、「楽町楽家」で出会った新たな層のお客様方、皆さんそれぞれが違う「お店」の楽しみ方を見つけてくださり、私自身の気づいていなかった「お店」の魅力もたくさん再発見し、これからの新しい広がりがとても楽しみです。
 ご協力くださった関係者の皆様方、本当にお世話になり、ありがとうございました。

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楽町楽家を終えて佐々木 妙子   京都市上京区「佐々木家」
出町の町家に移り住んで4年になります。元お米屋さんだったそうで、土間と通り庭部分が広く贅沢な空間です。
 私達夫婦は生まれも育ちも関東、子育て中は長い間北区で暮らしていました。町家を探していたわけではありませんが、縁あってこの家をお借りしています。明治時代の家ですので暮らしづらい部分もありますが、今はそれも含めて楽しんでいます。
 近い将来、息子達の独立を機に田舎に移り住もうと考えています。その時この家はどうなるのか?当然大家さんの意向が第一ですが、このままの状態でどなたかにバトンを渡せないものかと思い、とりあえず、この場所に町家があることをお知らせする目的で楽町楽家に初めて参加しました。

京都市上京区「佐々木家」

 どうせやるなら楽しもうと・・北区で営業している沙羅(手作りの和陶器の店)の商品やジュエリー作家 松本由紀子さんの作品を展示し、土間は息子のにわか中古レコードショップにし・・最終日は静岡のハーモニカ奏者 山口牧さんのライブをしたりと楽しませていただきました。
 ライブは2回公演、延べ50人程のお客様に来ていただきました。襖を外し障子を張り替えただけで、生活の場が展示会場&ライブ会場に様変わりして日本家屋の懐の深さを実感しました。ライブ終了後、若い男女からクラッシックギターの演奏会場として貸して欲しいとの申し出があり、思わぬ展開になりました。これを機に若い人達の発表の場にしてもよいかなと思っています。
 しばらくは次の住まいを探しつつ、この家を楽しもうと思います。初参加で内心ドキドキでしたが、来年もこの家に住んでいたら参加したいと思っています。
 協力して下さったスタッフの皆さま有り難うございました。

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楽町楽家を終えて杉崎 和久   京都市下京区「杉崎家」

京都市下京区「杉崎家」

 私ども「杉崎家」は、今回の楽町楽家に初参加し、オープンハウスを5月28日から30日までの3日間、開催しました。我が家は、通信69号「蘇った路地の町家─下京区・路地奥の借家」に紹介された町家です。
 この町家の一番の魅力である路地にて二つの写真展(〈日常散策〉写真展、『銚子まぼろし』写真展)、玄関前と庭にて「町家を彩るミニ坪庭」、そして室内にて「織る、縫う二人展」を行いました。そして、29・30日の午後は、室内にてジャズライブ“ROZI jazz”を開催しました。
 来場者数は、二日間のライブ参加者51人を加えて、三日間合計134人でした。周辺で開催している場所が少ないことからか、楽町楽家のマップを持って、「はしご」しているという人は少なかったです(「平等院鳳凰堂と迷ったけど、杉崎家を見に来ました!」という観光客もいらっしゃいましたが)。一方で、通りがかりの人や町内の方たちが恐る恐る立ち寄ってくださいました。ライブのときは、近所のおばあちゃんたちが後ろに陣取っておられました。
 今回の企画は、私どもの友人(写真展、ミニ坪庭)、親族(二人展)、お隣さん(ライブ)の協力で実現しました。そのため、友人、親族、隣人の方(とその関係者)が私たちの家で同じ時間・空間を共有して、楽しい時間を過ごすことができました。
 町家を回る立場だった昨年までは、楽町楽家は、「町家」という「場」と「町家を愛する人」がつながることに意義があると思っていました。しかし、実際に、「家を開く」ことにより、その家に関係するさまざまな人たちがつながる「場」になることを実感しました。そして、同じような「場」が市内各地で同時多発的に展開していることにより、身近な存在として「町家」を感ずる人たちが「面」として広がっているではと期待しています。
 さて、初参加の今回は、少し気合いが入りすぎた感じもあり、次の機会には、もう少し「町家の生活」を表現した方がいいのではと、反省をし、来年度の企画を妄想しはじめております。そして、ご近所的展開もできないかと。

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楽町楽家を終えて吉田 玲奈   京都市上京区「まちぐらし集団CHOBO」(よしやまち町家校舎)
 ひょんなことから今年運営スタッフとして関わらせて頂く事になりました。それまでも楽町楽家というイベントの存在は知っていたものの、初めてのミーティングにて、この大きな企画、膨大な作業量をなんとわずかな人数の実行委員でされていたことか!まずその事に驚きました。これは若者の力でお手伝いせねばと決意したわけですが、もちろん経験や感性は足元にも及ばず、教えていただいた事の方が多かったように思います。初めは参加会場の方々との距離がつかめず、業務的になってしまったり、至らぬ面も多かったと思いますが、参加会場の皆様方が好意的に進めてくださるのに助けられ、開催が近づくにつれ、参加される町家それぞれに物語があり、お住まいの方自身のイベントなのだと実感することができました。実行委員の松井さん、山田さん、ご参加ご協力戴いた皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。

楽町楽家のスタッフ

 イベントを通しては、あらためて町家の多様性に驚かされました。一言に町家といっても、農家に近い力強いもの、離れの風情を持ったものなど、市内の東西南北巡れば様々に異なる構成、空間を持っていますし、時代によっても趣が違います。面白いもので、どの家を見てもなんとなくお住まいの方にぴったりだなぁと感じます。(家は住まい手に似る?)私も勤め先の町家をオープンハウス兼休憩所として参加させて頂きました。来られた方に巡った会場の感想をお聞きすると、どの方も町家の建物を見るだけでなく、住まい手さんと良くお話され、暮らしぶりに触れておられたことが印象的でした。東京、埼玉、大阪など他府県からこのイベントのために来られる方もいて、「こんなに一同に町家の内部が見られる機会はない」とおっしゃっていましたが、京都在住の方にとっても、住まいの町家に目を向ける貴重な機会であると感じました。
 展覧会などでは催しを通して住まい手さんとご近所さん、町家居住者同士の繋りが広がっている事を嬉しく思い、コンサートやお芝居などの催しでは、年代を経た建物が普段ひそめているエネルギーを実感しました。人がざわざわと集まる様子や音色、歌声に家が「こんなん久しぶりや」と喜んでぶるぶる打ち震えているようでした。その感情が演者や参加者にも伝わり、一層の一体感が生まれているのではないでしょうか。実は、一番このイベントを心待ちにして、参加、協力してくれているのは、京都の「町家」達そのものなのかもしれません。
(楽町楽家実行委員会)