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楽町楽家13掘り出し市 冬の巻

◎釜座町町家、古道具市に変身

 1月26日(土)27日(日)の2日間、釜座町町家を会場にして『掘り出し物市』を開催しました。
 開催の趣旨は、各家で愛用されてきた古道具・古着物・器などで、現在使われずに眠っているものがあれば、おうちのお掃除も兼ねてご提供頂き、新たな使い手さんの元へ届けられるような橋渡しをしましょう、という2日間限定の企画“市”です。
 商品回収の呼びかけは、2013年1月1日発行の京町家通信発送と共に案内を同封させて頂きました。季節柄、どこの家でも年末の大掃除が終わっている年明け新年の告知でしたので、いったいどれだけの商品が集まってくるのか不安でしたが、お陰様で友の会の会員さんや作事組の現場お施主様方からご協力を頂き、主催者側の不安を軽く吹き飛ばす程たくさんの古道具が続々と集まってきました。さらに、釜座町町内会の回覧板にも案内を掲載させて頂き、町内のご近所様から多くの古道具類をご提供いただきました。

◎眠っていた道具を現代に橋渡し
 眠りから覚めて集まってきたモノ達はざっと300点以上。漆器や陶磁器、火鉢、おもちゃ、古時計、日用品など多様。突然に覚醒されてきた品々を種類ごとに分類陳列し、価格表示を付けながら会場の準備を進めていくうちに、いつもはスッキリとした佇まいの釜座町町家ですが、一気に賑やかな古道具屋さんへと変身しました。なかでも特に目をひいたのは、大型のレコード再生機や骨董の銅壷(どうこ:銅の火鉢でお湯を沸かして燗酒を作る道具)、兜飾り、雛人形段飾り、美しい輪島塗の三段御重、昭和レトロなエレクトーンなど。
 たくさんの品々とそれぞれの想いを会場までお持ち頂けたことへ感謝しながらも、今度は果たしてこれら全てを無事にどなたかに橋渡しすることが出来るのか、集まった商品の多さに驚き心配になりました。
 幸いなことに、開催日の2日前に京都新聞の市民版へ取材記事が掲載されて反響があったことと、毎年恒例で楽しみに待っておられる方々のおかげで、多くのお客様が寒さの内にもかかわらず来場下さいました。さらに、今回の会場は通行量の多い三条通りに面していたので、偶然の通りがかりで来場して下さった方も多数ありました。
 来場者の方々は、現代の町暮らしに見合う古道具類の輝きをそれぞれに見つけ出して、暮らしにとけ込むイメージを膨らませながら購入して下さっていたようです。
 集められた品々は無償で提供頂いたものですが、新たな使い手さんには比較的安価な金額で購入して頂きました。
 今回の売上金は今年5月末〜6月初旬にかけて開催予定の『楽町楽家』活動資金として使わせて頂きます。約2週間にわたる町家での催し費用として、大切に使わせて頂きます。

◎楽町楽家2013年に向けての胎動
 今年で8回目となる『楽町楽家』は、昨年に引き続き“住まいとしての町家”の魅力に焦点を当てながら、伝統的な町家を守ってゆくことと、未来への可能性を探ってゆくことを考えるプロジェクトとして計画中です。節分を過ぎた今現在は、具体的な次のステップへ進む準備に取り掛かり始めているところです。


 以上のような趣旨と目的をもって、今回の『掘り出し物市』を盛況のうちに開催することが出来ました。ご協力を頂いたみなさまに感謝御礼申し上げます。
 ありがとうございました。
 次回の掘り出し物市は、初夏を感じる季節に予定しています。2013楽町楽家と共にお楽しみに。

文 関矢郁子(楽町楽家実行委員)
写真 小野光則