折原 恵 
K e i  O r i h a r a
出版社勤務を経て、1977年からフリーランスの写真家として、雑誌を中心に活躍。
1979〜81年、ニューヨークに滞在。第3回PLAYBOYドキュメント・ファイル大賞特別優秀作品賞を受賞して、写真集『ジャナ』(集英社)を出版。
このほか、『世界の子どもたち・タイ』(偕成社)、『目に障害のある子といっしょに』(偕成社)、月刊「たくさんのふしぎ『屋上のとんがり帽子』」(福音館書店)、エッセイ集『フォト・ラブ』(幻冬舎)など。 東京都在住
 ニューヨークの給水塔は、マンハッタンが摩天楼を形成しはじめると同時に現れ、この都市特有の景観を形づくる重要な要素となってきました。
 ニューヨークが19世紀末に近代都市として出発し、パリに代わる最先端都市となり、世界の中心地として存在し続けたこの百年間、杉の桶であるニューヨークの給水タンクは、誕生以来、その形も質も変わることなく、今も最新のビルの屋上に造られ続けています。これほど身近に大量にありながら、これほど人の目に無視される存在もありません。
 ニューヨークで出版された数々の大型写真集を見れば、どの写真にも細心の注意をはらって給水塔が排除されていることがわかります。しかし、私はこの風景が好きで、それをあえて主人公にしてみました。    
  21世紀、新しい建築が給水塔をますます見えない存在にしつつある今、20世紀のモニュメントであるこの木造の給水塔の風景からアメリカに関する、あるいは都市風景論に関する様々なイメージ、感想を、見る人に引き出してもらえたらと願っています。
     
      折原 恵折原

折原 恵 写真展
water towers
NEW YORK

2004年1月24日(土)〜2月15日(日)
11:00〜17:00 木曜休




ニューヨークでは、今も最新のビルの屋上に杉の桶である給水タンクが造られ続けています。世界で最も近代的だと思われている都市の給水塔がなぜ杉の木で造られているのか?
築130余年の京町家で、その答えを探ってみませんか



●1月24日(土)午後3時〜 オープニングイベント 
     折原 恵氏と平木 収氏(写真評論家)を囲んでの茶話会(茶菓付き)

●1月31日(土)午後2時〜 リム・ボン立命館大学教授講演会
          「ニューヨーク最前線 ―都市再生とNPO―」

            (以上は要予約・参加費各1000円) 

町家ぎゃらりー「やまだ」
京都市下京区麩屋町通高辻下る鍵屋町217
TEL 075-351-5082
      
































協力:京町家再生研究会
京町家作事組
京町家友の会
京町家情報センター
愛知川びんてまりの館





 東京で仕事をしていた関係で、折原さんのことは20年近く前から存じ上げていましたが、昨秋、偶然にも京都・祇園の町家レストランでお会いしました。滋賀県愛知川での写真展のオープニングに来られたとのことで、後日、私も見に出かけたのですが、折原さんの作品とその仕事ぶりには改めて感じ入るものがありました。これは是非とも京都で、それも町家で、そして、出来るだけ多くの人に見てもらいたいという思いはつのり、その夜のうちに折原さんにお願いして、この写真展を町家ぎゃらりー「やまだ」で開催できる運びとなりました。
 世界で最も近代的だと思われている都市ニューヨークの給水塔が、なぜ今も杉の木で造られているのでしょうか? また、折原さんのメッセージにもあるように、新しい建築が給水塔(木造物)をますます見えない存在にしつつある今、というのは、まさに現在の京都におけるまち並み・景観にもいえることではないのでしょうか? 何が人に優しく、自然に優しく、豊かな暮らしなのか、少し立ち止まって考えていただくきっかけになればと思います。
山田 公子