◎第五期京町家棟梁塾たより 9
7月10日は「祇園祭前祭りの鉾建見学」で、長刀鉾、函谷鉾、菊水鉾、月鉾、鶏鉾を順に巡った。炎天下で「地獄やー」と笑いながら真木に縄を巻いていく職人さんや、真木を撫でて木肌の感触を確かめ恍惚としている大工さんの姿が印象的だった。5つの鉾町を移動しながらひたすら縄がらみを見ていたが、総重量が最も重いという月鉾は部材の太さが見た目にもわかった。鶏鉾は部材の総数が51、少ない部材で複雑な構造と教わった。複雑さが保たれ、巡行時の揺れ方も美しい。翌日に鉾建てのクライマックス真木建ての場面に行き当たった。1か月にわたる一大行事、一度では到底見尽くせないが、棟梁塾のOBと現役生あわせて12名が手伝い方で参加しているお祭りなので、身近に学べる環境がある。 7月20日は「町家の庭」について松浦先生に教わった。庭の中にある要素を一つずつ確かめたあと、もう一段詳しく竹垣や燈籠の種類を学んだ。石や砂利で島や海を表し茫洋たる景色を浮かべるイマジネーションの世界は、決まりから割と自由に作られ愛でられているものなのだなと思った。 (作事組事務局 森珠恵)
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