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京町家作事組



◎第四期京町家棟梁塾たより13



和紙の原料を解説するハタノワタル氏

町家の構造を学ぶ
 入塾から早いもので一年が経ち、まじめに出席続ける塾生、仕事に追われ欠席がちな塾生が分かれてきたように思います。
 実習では綾部へ遠征しました。黒谷にて和紙の歴史や使用材料、製作工程、そして実際に漉いてみるという体験までを、和紙作家であり職人であるハタノワタル氏よりご指導頂きました。冬の厳しい寒さの中、凍りそうに冷たい川の水で漉かれた黒谷和紙だからこそ、工業製品では決して出せない独特の温もりを放つことを感じました。
 綾部民家見学では棟梁塾一期卒塾生の金田講師より、綾部民家と周辺民家の特徴、時代背景による建物の変化、その変化に対する構造の考え方と改修方法などを専門的に学びました。ご自身で改修されたご自宅を開放して頂き、とても美味しい自家製の米と味噌、お茶をよばれました。材木や材料へのこだわり、大工道具や刃物、仕口や継ぎ手の技など、話は尽きません。綾部から棟梁塾に通われ、共に学びあった金田氏の仕事熱は冷めるどころか益々熱くなっているようです。
 座学では町家の構造を末川塾頭より学びました。ブックレットにまとめられた『京町家再生vol.5』と町家模型とを教材に用い、うなぎの寝床と称される立地条件の中で当時の大工衆はどのような手順で家を建てたのか、150年に1度起こるであろう直下型大地震に対してどう考えたのか、ご自身が携われた実験や様々な実験から見えてきた地震時の町家の揺れ方、崩壊までの順序など、町家を改修していくうえで大変重要な内容でした。この座学を学び、それを踏まえたうえで塾生達がどのように町家の改修を考えていくのか、塾頭の教えでもある「“町家に無いもの”探しでなく、“無い訳”探し」の続きを担っていく事でしょう。

(施工担当理事 大下尚平)