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京町家作事組



◎第四期京町家棟梁塾たより10



椅子の組立を学ぶ

木工に使う道具に興味津々

漆塗りに使う木べらを自作
 年も明け、塾生達は気を引き締め直した顔つきです。1月は木漆工芸家の京都幾何工房・建田良策講師より、家具・木工と漆について学びました。
 座学では、和洋家具の比較や木材の種類と特性、制作工程を初め、漆の歴史、産地に採取方法、漆工法まで幅広く学びました。漆を扱う為の道具には人毛・馬毛・クジラのヒゲ・鯛の牙・鹿の角の粉・イカの甲羅・鶴の羽の軸…等々があると教わり、自然の物を上手く使ってきた先人たちの知恵に驚かされます。
 実習では、笠取の工房にて塗師屋体験をさせて頂きました。各自漆を塗りたい素材を持参し、講習を受け、拭漆という技法に挑みます。触れるとかぶれる漆に、皆冷や汗ものです。室での乾きを楽しみに待ちます。工房には建田講師の作品も多数あり、仕上がり目前の椅子の組み立て方についても学びました。仕口や組順だけでなく、実際に組み上った椅子に座らせて頂き、その座りやすさに感激!工業製品の椅子とはわけが違います。「お客さんに気に入られなかったら、ただの粗大ゴミでしかない。」そんな心意気の込められた家具に、用と美を兼ね備えた洗練を感じました。
 制作するに当たって心に留めるべきことがらとして読み上げて頂いた、柳宗悦「工人銘」その一文に、
一、よき師をもち よき友をもつべし 一つは高きに昇らん為也
  一つは近きに温まらん為也 孤獨はよろしからず
とありました。これぞ棟梁塾。
(施工担当理事 大下尚平)