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京町家作事組



◎第四期京町家棟梁塾たより8



町家の庭についての講義

町家の庭見学

畳店にて
 少しずつ冷え込んできましたが、塾生達の志は学ぶ度に熱くなっているようです。今月は、町家の庭と畳について学びました。庭の講師は私達と同期の棟梁塾一期卒塾生である松浦氏に担当頂きました。卒塾生が後輩達に経験と知識を惜しみなく熱心に指導する姿には、京町家棟梁塾の本当の意義と明るい未来を感じます。座学では、ほぼ現存はしないが飛鳥・奈良時代に石を並べ神に見立て崇める事から始まったとされる庭の歴史の講義。そして各時代の背景や、茶人・茶道からつくられた露地がベースである京町家の庭を、手描きプリント“これだけは覚えておきたい庭の名称13個”を用いての解説。質疑が尽きず30分延長、それでも時間はぜんぜん足りない位でした。
 日曜日の実習では、太子山町の奇應丸秦家住宅(京都市登録文化財)と、京都生活工芸館無名舎吉田家住宅(京都市指定景観重要建造物)を訪ね、庭見学をさせて頂きました。講師による手水の配置や景石、植木の説明に加え、ご当主からは貴重なお話、お抹茶とお菓子のおもてなしまで頂き、とても贅沢な内容となりました。
 畳実習は作事組会員である東奥畳商店の作業場にて、大変貴重な畳を見せて頂くことができました。備後本引き畳表から、量産中国製が出回る以前の安価品国産とびこみ畳表、柔道用七島藺(しっとうい)琉球畳まで、見比べ触り比べて違いを感じとりました。昭和12年の畳単価表を見せて頂き「この丹波裏十四通の畳床にこの六杯中継ぎ畳表つけてこの麻縁付けて、ハイ三十円」と親方ニッコリ。現在の価格で1枚22万相当に皆ビックリ!畳の殺し方、掛けシミズの微調整、畳表の継ぎ方など、長年の感覚が物を言う仕事、頭ではなかなか理解できない事だらけでしたが、現役バリバリの親方から大事なことを沢山学びました。
 庭、畳、両講師とも、関東や他の地方の仕事まで幅広く熟知されており、京都の流儀との違いを学べる事は本当に値打ちがあると、私自身も再確認させて頂いた授業でした。
(施工担当理事 大下尚平)