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京町家作事組



◎第四期京町家棟梁塾たより7



建具店にて

古建具を洗う塾生達

町家を巡る各種制度の講義
 今月は実習二回に座学一回、バラエティに富んだ講義であった。
 建具の講義では材の種類、選び方から多彩な仕口、今でも機械を使わず手作業で行わなければならない箇所の説明等、かなりハードルの高い内容であった。建具職人の親方曰く「建具は100年持つ物」とのこと。塾長以外にどれだけ把握出来た者が居たのか、塾生のレポートを見ることにしよう。この実習には小田原から市役所の方を含め三名が棟梁塾の見学に来られた。地元の景観を残すため、再生研や作事組が行っている組織の運営や職人の育成方法など、熱心に質問された。
 日は替わり、洗いの実習である。塾長の現場を御借りして、お施主さん参加で行われた。木目に沿って手際良く作業が進む。道具が多くいるわけでは無い分、感覚がものをいう。アク洗いされた古建具がほどよい飴色に甦った時「昔は皆、物を大切にしたものだ」とおっしゃった塾長の声と建具の親方が言われた「100年持つ物を作らないといけない」という言葉が重なって聞こえた気がした。
今月唯一の座学は、京都市独自の条例ならびに補助金制度について景観政策課の浅田係長、建築安全推進課の佐藤係長に説明して頂いた。着目すべきは伝統工法独自の改修に補助金が付いた事だろう(根継・土壁・礎石の据え直し等)。行政がここまで踏込んだ事はプラスではなかろうか、それだけ住民の声が高まっている証拠である。喜んでばかりもいられない注意すべき点もある、基準を決める側である。町家を理解しているとは思えぬ項目がちらほらある、もう少し現場の声を聞くべきではなかろうか(口ではなく手を動かしている職人に)。幾度もの天災から復興され今も受け継がれる伝統木造も人災には勝てぬのである。その為にも我々現場からもっと声を上げるべきである、住民の思いは届いているのだから。

(施工担当理事 辻勇治)