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京町家作事組



◎第四期京町家棟梁塾たより5



左官の講義

実際の現場で三和土実習

下地掻きの実践
“三和土”たたき、と読む。我国古来の土間である。近頃はモルタルにその座を奪われ滅多に御目にかかれなくなった。モルタルは安価で施工が簡単だからだと言うがそうだろうか?三和土は土と硝煙、にがりとで構成されている。10cm程に盛り、ひたすら叩き締める。それを二層、三層繰り返す。仕上げはコテ押さえ、拭取り、たたきっぱなしとそれぞれ表情は違う。夏はひんやり貯蔵場所としても使われ、足が疲れにくいとも言われる。材料構成と施工方法を考えて高価と言えるのか、施工に高度な技術が必要なのか、肝心なのは配合だけである、それはモルタルとて同じ事である。姿を消しつつあるのが惜しまれる。我々の現場では施主さんに人手を集めてもらい三和土を実践している。施主さんの要望ならもちろん、設計施工者側からも勧めてみてはどうだろうか。コストも抑えられ、なにより家づくりに参加する事によって愛着がわくはずである。
 最高に暑かった日に実習の講師をして頂いたさくあんの親方、インターンの学生さん、ありがとうございました。こんな日には三和土はお勧め出来ない事をお伝えしておきます。
 日は替わり、座学は下地掻きである。塾長御手製のエツリ壁に木舞竹を掻いでいく。初めての塾生も飲み込みが早く、後は実践あるのみである。次の課題は“男結び”、ハードルが高い。塾長に手取り足取り教わる塾生、何度も何度も解いては捲き直す。こればかりは頭だけでは習得出来ない、やりつづけ身体で覚えるしかない。
 仕事はやりたいと思い続ければめぐり逢えるものだ、その時を逃さない為にも日々の鍛錬が必要である。
(施工担当理事 辻勇治)