◎9月の報告
[インターンを終えて] 土壁ワークショップ 土壁ワークショップ 土壁ワークショップ 泥だんごづくり 実習が始まり間もない頃の実測では、町家の部位の名称も分からず、また、作業も慣れていないため、戸惑うことが度々ありましたが、回数を重ねるうちに少しずつ慣れ、空間を体感するのも楽しくなったような気がします。建築は、卓上で図面や写真を見て学ぶことも勉強の一つですが、現場を見ることは欠かすことのできない学びであることを実感しました。 ある現場で、昔改修が行われ、根継ぎがされている柱がありました。このような形跡をみると、町家は再生力を持ち、世代を渡り人々と生き付いてきたことが確認できます。また、町家の改修には、それほど大きな重機を必要としないとのことから、環境に負担をかけない建築の良い例であることもいえると思います。かつては暮らしが営まれ空き家になった町家を、新たな生活空間に蘇らせる設計士や職人の方々に、大変感銘を受けました。 作事組では、資料作成や掘り出し物市の準備のお手伝い、加えて棟梁塾にも参加させていただき、期待以上の経験をさせていただきました。お茶の講義では、建築的な視点からみた茶室のお話を聞くことができ、大変新鮮なものでした。茶道には、一つ一つの作法に意味があることを学び、どんな場合でも共通するような人への接し方や物の扱い方のお手本となりました。 元立誠小学校で行われた「子どもと学ぶ土壁ワークショップ」では、泥だんご作りに熱中する子ども達が印象的でした。子供達の中には、思うように泥だんごに光沢が出ず、やきもきしている子もいましたが、素直にものづくりを楽しみ他に二つとないものを作り上げた活動は、子どもにとって貴重な経験であったと思います。また、暮らしの中に人工物が溢れる現代でありますが、このワークショップを通して、古くから土、木、藁、竹などの自然素材が使われ建築が建てられてきたという源点も子供達に記憶されたのではないかと思います。 今では、空き家数が年々増加し、量より質が求められる時代になっています。 将来は、空き家を活用し、福祉への転用や子供の地域の居場所作りに貢献することを一つの目標としています。職と住が一体となり多様な使われ方がされてきた町家を一つの参考事例として、大学院の研究に取り組んでいきたいと思います。町家の改修に携わる方が、どのような活動をされているのかを知ることが、私にとってなによりも貴重な経験となりました。今回、インターンを快く受け入れてくださった内田康博建築研究所の内田氏をはじめ、いろいろ親切にご指導していただいた作事組の皆様には感謝の気持ちで一杯でございます。約一ヶ月、ありがとうございました。心よりお礼申し上げます。 大阪市立大学大学院 生活科学研究科 居住環境学コース 前期博士課程 田村京子
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