◎8月の報告
[釜座町の地蔵盆に参加して] 釜座町 地蔵盆 釜座町 地蔵盆 数珠回し 幸運にも、作事組の事務局が釜座町の町内会所にあることから、初めて地蔵盆に参加する機会を得ることができました。朝早くから、地蔵盆の準備に来られた町内会の方の作業風景を見ていると、地蔵盆は世代をつなぐための大切な伝統行事であると感じました。近年では、少子高齢化が進むにつれ、全国的に子供が主役となるお祭りや行事が減少する傾向にあるようですが、京都では、地域に住む人が集まり、子供が健やかに育つことを皆で願う習慣が受け継がれていることに感銘を受けました。初めて、体験した数珠回しでは、数珠を回すことの意味が分からず、始めは見様見真似で数珠を回していましたが、しばらく続けていると、不思議なことに、人と縁がつながり、ずっとそれが回り続けるような感覚を覚えました。夢中で数珠回しをしていた子供達も、無意識のうちに何かを感じとっていたかもしれません。成長していく子供にとって、地域の方に見守られながら、地蔵盆に参加したことが、大人になっても楽しい思い出として鮮明に記憶されることでしょう。私にとっても本当に貴重な経験となりました。 大阪市立大学大学院 生活科学研究科
居住環境学コース 前期博士課程 田村 京子 [世界考古学会議第8回京都大会への出展] 両足院展示 両足院展示 土壁ワークショップ@立誠小学校 実行委員会の方々と京町家ネットの御縁で、作事組も両足院での京土壁と植物壁紙の展示と、立誠小学校の土壁ワークショップに参加した。 両足院方丈の仏間の両脇に沢辺建具製作の和紙パネルを西側に立て、考古学的に証明された、東南アジア各地に生産されていた梶の木の紙やガンピ紙を展示、裏面にはドイツで活躍した日本人作家の繭袋を再利用したオブジェが貼り付け展示された。 一方東の大扉には、さくあん制作の町家土壁が木舞下地をあられに見せて、3層の土の塗壁が展示された。奥の間には、5種類の京土壁の見本をK邸から借用した「ちゃぶ台」に乗せ、左官鏝の道具箱を壁側に陳列。一方、壁面には博物館から提供された「年中行事絵巻」と「洛中洛外図屏風」がパネル展示され、京町家の歴史的発展の様子が、海外研究者の皆様にわかり易く、バイリンガルで解説されていた。 「土壁パネル」の手前には、東北、北陸、北海道等で発掘された黒曜石の道具や、翡翠の曲玉、床の間に旧石器の実測図の掛軸と遺跡の掘立柱穴に粘土を込めて茶碗を焼き、内側は縄文風漆塗の茶碗を配置するという展示構成がされていた。 禅寺の方丈、書院、茶室を利用して、初秋の美しい庭園を鑑賞しながら、各展示室と回廊を巡ることの出来る「考古学アート」の展覧会は、初めて京都を訪れた外国人学者や、いわゆる京都在住の参加者にとっても、珍しく、また心地良い体験が出来たという好評を得る事が出来た様だ。 九州から来られたWAC会長の溝口先生に、京町家の伝統構法や土壁のしなやかな振動による防災の仕組みを、展示物に触れながら解説し、御理解を戴く機会を得た事は、今回の出展担当者として有難い事だった。又、アフリカや南北アメリカ、ユーラシア大陸の各地にも、同じ土壁を利用した家屋が昔も今も存在し続けている事も、今回の展覧会会場で見聞する事が出来、感動を覚えた次第である。 作事組代表理事 木下龍一
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