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京町家作事組
第90号(2015年3月)

◎2月の報告

13日(金) 理事会
14日(土) 竣工見学会
14日(土) 京町家ネット合同新年会
15日(日) 姫路町家再生塾との意見交換会
27日(金) 理事会

◎3月の予定

11日(水) 京都造形芸大シンポジウム「日本の伝統木造建築の可能性」
13日(金) 理事会
22日(日) 丹波篠山研修旅行
27日(金) 理事会


[姫路町家再生塾との意見交換会]


加藤家住宅長屋門

片岡家住宅

片岡家住宅

野里地区

塩本邸

 今回、平成28年度開催予定の作事組全国協議会・総会に先立ち、主催者である「姫路・町家再生塾」と京町家作事組とで意見交換会を行いました。

 京都駅から新快速で揺られること約1時間半、姫路市は網干駅に到着した作事組一行は、姫路・町家再生塾の塾長山田氏の出迎えのもと、まずは網干地区内にある加藤家住宅及び片岡家住宅に向いました。

 加藤家住宅は築160年、間口28間奥行き22間の長屋門を構える立派な普請の大きな屋敷で、損保川を利用した回船業を営み、小麦、醤油、薪などを龍野、大阪間で運んでいたそうです。見学の際は現当主の加藤三郎氏より登録有形文化財、都市景観重要建築物指定までのプロセスや改修の様子、地域への活用などのお話をお聞きしました。

 片岡家住宅は築300年、3間のトオリニワと2列に7室の部屋がある大きな町家で、かつては龍野藩南組大庄屋を勤めてきたそうです。姫路市内でも屈指の古い建物として姫路市都市景観重要建築物に指定されています。

 網干の感想としてはやはり回船業や漁業で財をなした建物は残るものの軒を連ねた普通の町家が残っている様子はあまり見られませんでした。建物の特徴としては差鴨居が多く使用されていて、1尺5寸(455mm)近い差鴨居がミセ、ナカノマ、オク間に全て入り、寸法体系としても京間ではあるものの柱が4寸5分(135mm)と大きく、京都との違いが見られました。

 その後、損保川河口近くにある海鮮料理屋さんにて昼食を取りながら皆さん自己紹介。それぞれのお仕事や活動をされている内容などを話し合いながら、伝統構法についての議論や今後の姫路の町家の展望などについては夜の懇親会までお預けにして、午後の舞台、野里「塩本家」に向いました。

 野里は姫路城の東側、堀の外側にある城下町として商業、職人の町として栄え、今も多くの町家が軒を連ねる地区です。本瓦葺き、5寸勾配の屋根、丸太の下屋桁、漆喰で塗りこめられた軒裏など京都との違いを見ながら町並みを歩き到着した塩本家は、今回の意見交換会に同行された塩本氏のご実家。現在は東京在住で将来は戻られて町家を改修し住まわれる予定とのことで姫路・町家再生塾が事前に実測調査を行い、今回の意見交換会に合わせて地元の職方、作事組の意見などを聞きたいとのことでした。1列4室型厨子2階の大きな町家、1階のオモテが一部以前美容室をされていて洋風に改修されているもののそれ以外は元の姿が残っていました。詳しい内容についてはここでは書ききれませんが、構造の状態、土壁の状態、以前の間取りの考察、これらの改修の仕方など様々な意見が飛び交い大変有意義な意見交換となりました。近い将来、この町家が改修され姫路・町家再生塾の実績となれば嬉しいです。

 最後に姫路城の西側にある町家カフェ「しょうあん」にて姫路・町家再生塾の学生さんによる料理を頂きながら懇親会を行いました。まずは、今回の意見交換会のそれぞれの感想を述べられ、今後の姫路・町家再生塾の活動、町家の件数調査、職人の発掘などを出発として、設計者、施工者同士ではそれぞれの改修の方法や法的な問題点など具体的な内容についても話し合い、美味しい料理と日本酒を頂きながら大変賑やかで意義のある意見交換会になったと思います。

 今回の意見交換会では姫路・町家再生塾のメンバーとして大工、瓦、庭師、設計者、民間の確認検査機関、町家に住まわれている方、将来住まわれる予定の方、学生さんなど、たくさんのメンバーが来られていて姫路・町家再生塾さんの意気込み、十分な可能性を感じることができました。今後もこういった機会を重ねて平成28年度の総会を目指し頑張って頂きたいと思います。

(作事組設計担当理事 井澤弘隆)

[京町家ネット合同 竣工見学会と新年会]

 2月14日(土)午後、京町家ネット合同で竣工見学会と新年会が開かれ、各会から20〜30名の方が出席されました。見学させていただいたのは、一昨年の楽町楽家の催しにて改修相談を受け、1年に及ぶ設計期間を経て今年8月に着工、2月1日に竣工検査を終えたKb邸です。改修相談中の方もご家族でみえ、立派な表屋造りの明るい部屋を体感していただきました。新年会は大正5年竣工のレストラン菊水で行われ、美しいシャンデリアの下、会の垣根を超えた交流がはかられました。各会の連携が機能し町家再生活動がいっそう進展していくことを願ってお開きとなりました。


見学会 明るくなった2階通路

新年会


[京都造形芸大シンポジウム]

京町家作事組の理事長、副理事長が下記の日程でシンポジウムに登壇します。

日時 2015年3月11日(水)13:10〜16:30
場所 京都造形芸術大学至誠館S11教室 ◎入場無料
パネリスト 鈴木祥之(立命館大学教授)
木下龍一(作事組理事長)
荒木正宣(作事組副理事長)
インゲマール・フォーレンヴァイダー(ドイツ・カイザースラウテルン大学教授)
テーマ 伝統工法の良さを現代の木造建築物に生かすにはどうすればよいか。構造、設計、施工の観点から、その可能性と課題について議論します。
詳細はこちらでご確認ください(PDF)

工事実績: 214件
相談件数: 581件
('99年〜'15年2月28日現在累計)