◎9月の報告
◎10月の予定
[改修工事中見学会]
この時代の町家には土台や地回りなどの水平材が設けられ、特に土台が傷んでいることが多いのですが、Kb邸では基礎の状態も良好で、ハシリニワの7本の柱の基礎の新設と揚げ前で大方の構造改修は終了のはずでした。しかし設計時点の調査で漏らしていたゲンカンニワの通り柱の蟻害が揚げ前時に見つかり、担当の辻工務店が通し柱の抜き替えと2方からの胴差の継ぎ直しを鋭意終えてくれました。 見学会では、施主の妻君から改修を決意した経緯を伺い、ご夫婦に加え妻君のお父さんも参加され、作事組の新規案件の若い相談者ご一家も来られていました。Kb邸では、「まちの匠の技を活かした京都型耐震リフォーム」や「町家・まちづくりファンド」の助成を受けており、そのつど工事の過程を公開しますし、再生研の小島理事長からは竣工時にも見学会を開くようにとの要望もありました。 (設計担当理事 末川協)
9月8日立命館大学教授山武ウ史さんの案内で、2014年JICA研修生として海外からの見学者13名と新聞記者の方が斧屋を訪問した。既に十数年前から続けている「歴史都市の保全、防災と文化観光への活用」を学ぶため、日本各地の古い町を訪ねながら、景観保全や文化観光、防災システム等をワークショップとレクチャーを通じて研修するプログラムの一環だそうである。今年はアフリカのエチオピア、チュニジア、エジプト等の文化省等に勤める都市計画や建築、文化財保護の専門家が多く、半数以上が女性であった。私からは、京町家ネットの生い立ちから、現在までの社会貢献活動と釜座町町家をモデルとして、町家の成り立ちや作り方、近隣のコミュニティとの関係等についてスライドで説明した。通訳がいたものの様々な言葉が飛び交い、議論は白熱した。ヨーロッパの旧宗主国の影響もあり、我が国よりもレベルの高い景観保護制度を持っている国もあり、こちらからの質問には適確に回答してくれる態度には感心させられるものがあった。何はともあれ、京都の町家と町共同体の歴史を実感して貰うのには、つくづく釜座町家はもってこいの場所だと思う。 (作事組代表理事 木下 龍一)
[作事委員会] 第1回作事委員会が開かれた。発案者の当委員会の位置づけは内部向け勉強会の開催であり、今年度の到達点は調査、構造改修、竣工の説明会及び他会との合同学習会である。話し合いの結果の要点は、一つに見学会への参加促進及び率直な意見交換ができるように、作事組単独ないしは別の場所での総括をする。及び検査項目表を作る。二つに技の学習については「町家再生作法本」をまとめ、各職ごとに内容の検討をする場を設ける。三つに他会云々については、手始めに作全協の会員グループの「―性能標準」作成の手助けをする。四つに遠出を含み、町家に関わらず伝統構法の建物やまちを視察する研修会を実施する。などであった。 作事組は一部の役員がことを進めるのではなく、かつてそうであったように現場での各職の息の合った連携の再生と直し方を共有するのが目標です。会員の誰もが参加したくなる企画を心がけたいと思いますので、会員の皆様の理解と協力をぜひお願いします。 (作事組監事 梶山 秀一郎)
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