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京町家作事組
第61号(2012年10月)

◎9月の報告

8日(土) 構造設計勉強会
14日(金) 理事会
15日(土) 寺社新築工事現場見学会
26日(水) 茶道稽古
28日(金) 理事会
30日(日) 改修工事現場見学会

◎10月の予定

12日(金) 理事会
24日(水) 茶道稽古
26日(金) 理事会
27日(土) 斧屋法要
28日(日) 愛宕山お参り


改修現場見学会

往年の大型ガス管
[改修工事現場見学会]
 9月30日(日)、K邸改修工事の現場見学会を開催しました。あいにくの暴風雨の中、作事組と再生研究会のメンバーが参加しました。
 K邸は間口2間半の奥行7間半、1列3室型総2階建で、5間の奥行のある渡り廊下と前栽の奥には1列3室型のハナレが建ち、さらにその後ろに北庭を構えるという、大きな町家です。棟札から昭和14年に白生地問屋として建てられたことがわかり、戦中という時代背景からも、建主は経済的・社会的に有力者であったのではないかと推測されます。近代様式の町家の特徴を随所に備えた建材や内装も興味深い姿でした。渡り廊下から眺める前栽には巨大なさざれ石が据えられ、お施主様は縁側から眺めるこの景色が気に入って購入されたとか。今回の改修工事では主に構造改修をおこない、本格的な設備でパンを焼きたいという夢を包んだ家族の住まいとして再生されます。
(事務局 常吉裕子)

[茶道お稽古]

盆略点前のお稽古
 9月26日(水)、釜座町町家でお茶のお稽古が開かれました。今回は一人ずつ順番に盆略点前をおこない、他の生徒さんに供するという内容。先生のご指導を受けながら、皆さんひと通りのお点前ができました。お茶の出来具合を皆でわいわい批評し合ったり、ご近所さん同士ならではの気の張らないお稽古です。お稽古も4回目となり、お茶の空間にも馴染んでこられた感じがします。11月に開催予定の茶会でお手伝いとして活躍いただくことも決まり、大きな目標ができました。
(事務局 常吉裕子)

[伝統木造建築の構造設計勉強会と見学会]


もこしの見学

台枡と船肘木

記念写真
 現在再建中の興福寺中金堂、その構造設計勉強会と現場見学会を9月8日と15日に行ないました。各期の棟梁塾では、古建築の見学を奈良で行なってきましたが、興福寺中金堂の工事現場のスケールはいつも印象深く、その構造設計を担当された立石一氏(立石構造設計事務所主催・京町家再生研会員)のご厚意で、その勉強会と現場見学会が実現しました。
 勉強会では、時刻暦応答解析で伝統軸組構法を解く設計法をお話し頂きました。また、改修の実例のお話もあり、より精密正確な解析が結果的に設計全般に自由度を担保すると、構造技術者としての矜持を伝えられた気がします。文化財に準じる建築物として基準法の枠をはずされた行政判断は、京都での伝統構法再生の取り組みにも心強い先例になります。
 見学会では、アフリカから来た800φ10mのケヤキの柱、北米から来たヒバの梁や造作材など、その大きさや材質に圧倒されました。槍鉋での仕上げのヴォリュームも町家再生とは桁違いです。鉄と木の複雑なハイブリッドの架構、シンプルな軒のディティールは、まさに21世紀の再建といった感じです。奈良の現場ならでは、鹿がのんびり場内に入り込んでいました。見学後、参加者は瓦を寄進して、その裏側に思いを書きました。慣れない漢文をつづっていると、立石先生から「字を間違えたら千年の恥やで」。京町家の解析も相談に乗るとそっと言ってくださり、秋の奈良を楽しむべく散会となりました。
(設計担当理事 末川協)

工事実績: 185件
相談件数: 484件
('99年〜'12年9月30日現在累計)