◎6月の報告
◎7月の予定
6月19日（木）夜8時、釜座町町家を活用して初心者向けのお茶のお稽古が始まりました。参加者は釜座町町内会内部に設置されている町家（ちょういえ）を活用するチームのメンバーが中心となっています。講師は京町家再生研究会幹事の松井氏にお勤めいただきました。 名前の通りお茶に縁の深い釜座町の住民として、素養を深めたいと思いつつもなかなかきっかけがなかった参加者が、初めて本格的に接するお茶の世界に熱心に取り組んでおられます。改修を機会に町内会と京町家ネットで茶の湯の炉を新設し、いよいよ多くの皆様にお茶を振る舞う準備にとりかかることになりました。稽古を重ね、秋頃にはなんとかお点前をお披露目すべく、楽しみながら取り組まれています。 （設計担当理事 内田康博）
［大型町家改修の問題点に関する内部研修会］ 6月30日（土）、京町家再生研究会と京町家作事組の幹事及び理事を中心に、「大型町家改修の問題点」に関する研修会を開催し、設計者、施工者、各職方、研究者等、約30名が参加しました。 前半の約90分は設計担当理事の末川氏による発表が行われ、大型町家の用途変更と宿泊施設利用における法規上の課題を中心に、過去に作事組が改修に携わった宿泊施設を事例とした問題提起と検証がありました。後半は質疑応答と議論が交わされました。 かつては大店の繁栄を体現していた大型町家ですが、現在ではその大きさを維持する難しさから、活用方法を見出せずに解体される例が相次いでいます。一方で、近年、町家の宿泊施設利用が人気を博し、京町家の宿は10年前には片手で数えるほどであったのに対して、現在は100軒を超えるまでに増加しました。一口に宿泊施設と言っても営業形態は様々で、旅館業法上の営業許可を持たない施設の安全確保等に対策が求められます。そして何より、建築基準法の手続き上、用途変更を行う際の「100㎡の壁」があり、宿泊施設に適した大型町家もその広さを活かしきれないジレンマがあります。 作事組では平成11年に発足以来、８軒の町家を宿泊施設として改修させていただきました。今回の研修会では、過去の事例を徹底検証し反省するとともに、100㎡の枠内に逃げ場を求めず、実務的・技術的な解決策を議論し合う場となりました。 今年の４月には、景観的・文化的に重要な伝統木造建築物について建築基準法の適用を除外し、伝統的な木造建築に適した方法で安全性を確保しようとする条例が施行され、まだ制約はありますが、法規面から町家の保全を支える施策がとられました。作事組の取り組みは、町家を通して京都ならではの暮らしや景観、伝統技術を守りたい、という一見単純なものですが、その道のりは想像以上に険しいものです。今回の研修会は、法制度の理解を深め、確かな技術を積み重ねるとともに、正攻法で町家保全に取り組んでいくことを再確認し合う良い機会となりました。 （事務局 常吉裕子）
［釜座町町家見学］
６月には３回実施され、その内の２回は京都大学地球環境学堂からの申し込みでした。１回は地球環境の保全や持続的発展について研究されているトレーシー・ガノン准教授のゼミ生６名で、そのうち４名は留学生でした。もう１回は人間環境学を研究されている小林広英准教授のポケットゼミ生１１名でした。 また、NPO法人環境市民の「野の塾」が再生研と共催で「電気に頼らない涼のとり方とその効果」というテーマで松原斎樹教授からお話をお聞きし、町家の環境性能を体感する催しが行われました。いずれも環境を考える視点から町家を見直し、学ぶことが趣旨ですが、過去のものと思われがちな町家が十分現代に生きる住まいであることが実感いただけたのではないかと思います。 （設計担当理事 内田康博）
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