つづくり 【Tuzukuri】    町家の修理改造は俗に「つづくり仕事」と呼ばれ、見栄えのしない裏方的な仕事で若い職人達は敬遠しがちな仕事であるが、実際はつづくり仕事が出来れば一人前とまで言われるような難しい仕事であり、新築工事をいくつか施工してはじめて手掛けられる工事なのである。そこには無名の先人たちの技と知恵が凝縮されており、五十年、百年生きてお役目を果たした建物を、我々の手によって、また五十年、百年の寿命を延ばす仕事である。「佐藤嘉一郎 改修と職人 」より
 
何が凄いかって?
元の木材と新しいものとの仕上がりを調整するの為、鉋がけで合わせるのが普通。しかしここは壁や柱があるのでそれが出来ない。
突然の撮影で、たぶんこの大工さんは自分でも気づいていないと思うが、左手に持った"あて木"の置き方、普通ならポイと捨てられるものが、そっと置かれたことで、まずその丁寧な仕事ぶりがわかる。さらに自分の目でもわからないぐらいなのか、その手で仕上がり面の確認をした。
ポンと柱が跳ね上がるほど元框との結合も完璧。そして鉋がけも要らないぐらい、見事一発で合わせた。 


名乗らない大工さん
平成24年5月
京都市上京区 
    
監修 京町家作事組
設計 末川建築設計
施工 アラキ工務店