「京町家の三和土」 【Tataki】 堀 宏道   
 おばあちゃんの作るかつおのたたきはうまい、ひと味違う。
三和土もかつおのたたきと同じである。
お豆腐を固めるにがり(海水から作る塩の精製でできる)を適量の水に適量を入れて溶く。ミキサーで土と砂を適量混合し、これに石灰を適量加え、溶かしたそのにがりを適量追加していく。材料はこれだけ、あとはたたくだけでだれでも簡単に固める事はできる。 しかし問題はこの適量である。その塩加減で仕上がりのアジがころっと変わる。適量とは分量、割合が決まっているわけではない。ネットでこの配合を検索してくる人は多いが、たとえその配合がわかってもうまくできるほどたたきは甘くはない、苦い思いをする事になる。なぜなら左官職人は季節、気温、土、土間の状態をその都度見極めて、その適量というものを長年のカンで決めている。その長年のカンこそが、先代から代々たたき込まれ、たたき上げられ、そして自らたたき上げた、技である。これが伝統工法というものである。


濱 賢生さん (ワークショップ)
たたき料理と同じように
大葉や紅葉を添える


堀川 勝史さん(ワークショップ)
橋田 道宜(左官)
小林 泰善(左官)
萩野 哲也(左官)
末川 協
荒木 正亘

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平成24年7月
京都市上京区 

監修 京町家作事組
設計 末川建築設計
施工 アラキ工務店
左官 さくあん