「基礎の据え直し」 作事組理事 大下 尚平 

今日の新築住宅と大きく違う1つとして町家の基礎は柱が接合されていない点で、石に柱が乗っているだけである。これが特徴でもあり、利点でもある。年間に0.6mmの基礎の沈下はあらかじめプログラムの内で、数十年後には容易に据え直す事が出来る。今日では柱をジャッキアップして据え直す。多くの場合、柱の根継ぎを同時に行なう。 栗石地業をしたうえにモルタルを敷き固めて据える。地盤が悪いときは、今日では現場打ちのRC地業を行なうときもある。ブロックや煉瓦、プレコンの基礎は、湿気を呼び、強度も劣るので床組の束以外では使わない。

【延石】のべいし あるいは【カズラ石】かずらいし
表とトオリニワの壁下に据えられる、加工した御影石の細長い切石。框が乗るときはその上に地覆を置く。

【ひとつ石】ひとついし
柱の下に据える礎石のことで、柱ごとにひとつずつ据えられる。大黒柱などの見掛りでは整形された化粧の石、床下では、野面の川石を使う。化粧の石の下に大きな川石が2重に据えられていることもある。

平成22年12月
京都市中京区釜座町町会所 
監修 京町家作事組
設計 アトリエRYO
施工 拒蜑コ工務店