框の補修 「台持ち継ぎ」               
  上野 泰孝 (棟梁塾一期生)  棟梁塾で大工が生け花を習っていた。なんでやねん。
玄関かまちや、上がりかまちは梁とは違い、京町家では構造材では無い、そんなに強度は架からないのに太く大きな木材を使う。その高さは計算された物でも無ければ、施主の注文でも無い、たいがいが大工が勝手に決めたものである。ミセのまの上がり框はヒトミ梁が鴨居を兼ねている様に敷居を兼ねている。近所のおばちゃんがここに座る、そのおしりを支えるためにこのような大きなものがいるのか、いやこれは見栄えの為である。普通は化粧材には継ぎ目など無い、梁を継ぐ場合でも鎌の臍で縦にカギで筋が入るが、大工上野は大胆にも斜め Z で行った、これを台持ち継ぎという。隠すどころか、あたかもその継ぎ筋がデザインのごとく、行った。木目とフシの見え方にもこだわりをもってバランスとセンスが必要。この木が美しいと思う人がいるから。木に木を刺して生け花の様に。





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平成22年2月
京都市下京区 

監修 京町家作事組
設計 クカニア
施工 拒蜑コ工務店