柿渋3度
平成20年4月 京都市下京区 田中邸

かきしぶ【柿渋】 Kakishibu      村上 幸男  
 
<目的>   木材 紙 布 竹などを長持ちさす為の、防水や防腐効果がある。但し現在の合成塗料や防腐剤よりも性能は落ちますが、果物から製作しているという安全性などで、再評価されています。

<塗り方>   基本的に通常の塗料と同じように下地処理をします。水溶性のため鉄系の粉末などがあるとサビがすぐ生じます(修復の方法はあります)1度塗でホンの薄くピンク色がつきます、乾燥し2度、3度と塗るほどに赤茶色に濃くなっていきます。更にまた時間経過とともに、更に濃くなっていきます。塗りムラは布切れ等で伸ばすか拭き取り均せば良いでしょう。(但しムラは完全にはとれません。このように塗りムラや色の変化があるので、塗ったときと、期日をおいて仕上がったとき、色がかなり違います。色むらや刷毛ムラが生じやすいのはこのためです。このムラを塗味として楽しむような人にお勧めです。仕上げ 柿渋ですから柿色の薄い色から濃い色の間で、塗り重ねにより好みの色が出せます。木材の白太部分も赤身部分もそう差がなく色がつきます。顔料や紅柄を混ぜて他の色の製作も出来ます。その他 柿渋や紅柄などの昔からの塗料は、人間にソフトで暖かい感じに仕上がります。ただ性能としては現在主流の化学合成塗料にはかなわないものもあります。ですから頻繁に塗替えや補修の必要があります。このため、メンテナンスを実行しなくなれば早くに性能が劣化します。以前はそのような手間暇のかかる事は、何か古臭くて現代的ではなくて、時代遅れの骨董品のような扱いを受けていました。これらはほとんど合成塗料に置き換わり、塗替えといえばペンキなどを塗っていたものでした。ここ最近またこの様な塗料や製法が見直され使われていますが、手間暇をかけてメンテナンスをする必要があることを、理解している人が増えてきたのだなと思っています。  

          監修 京町家作事組
設計 田中昇一級建築事務所
施工 潟Aラキ工務店
塗装 潟Cマエ
<柿渋製法>   熟していない青い柿(タンニン成分が多い)を収穫し、搾汁して自然発酵させる。熟成の年数により新しいものから古いものがある。古いものほど高価で品質が良い。独特の匂いがある(柿が熟しすぎた匂いに似ているが、それほど不快ではなく、乾燥すれば匂いは消える)柿渋そのものは赤茶色をしていますが、刷毛で塗ると薄いピンク色になります。

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