【建あわせ】 古建具に下駄をはかす Tateawase 作事組理事 大下 尚平 (元棟梁塾一期生)
 本来京町家の建具は規格化されていて、建具同士や古材建具の流用が出来るのですが、鴨居の垂れや敷居の溝のすり減り、経年変化による柱の立ちや不陸の悪化により建て付けが悪くなっていきます。勿論、建具自体のすり減りもその要因の一つです。しかし、調整をするだけで長い年月使い続ける事が出来るのが木製建具の長所の一つだと思います。そのような建具も敷居、鴨居の入れ替え構造改修で元の状態に戻った柱に、調整を繰り返された建具が上手く合うはずもありません。今回改修する事になった建具なのですが、建具自体の”コシ”はまだしっかりとしており、仕口の打ち抜きホゾも緩みはそれほど感じられなかったので、解体修理はせず下桟に摺桟をつけて、成を増し調整をする事にしました。町家改修時に建具を新調するのは、新たな気持ちになり大変良いと思いますが、古い建具には立派な物が多く、今日では製作出来ない様なとても貴重な物もあり、思い入れのある建具を使い続けることもできます。そして何より京町家らしく、しっくりと馴染む事が再利用の最大の利点であると思います。
平成21年2月
京都市中京区 
約5分
監修 京町家作事組
設計 アトリエRYO
施工 且R内工務店
応援 拒蜑コ工務店   大下尚平