改修手順の作法・第10回 改修作法〔その6〕技術編3 梶山秀一郎(作事組理事長)
4)通風、通気が自然にできるようにする
室内は、気化作用で蒸し暑さを和らげる風を通さないといけない。一方、風通しまでは必要としないが、床下、小屋裏の通気は不可欠である。さらに、壁、床、屋根自体にまで隈無く通気性が求められる。すなわち伝統的民家、イコール町家のようになっていないといけないのである。 改修に当たっては町家の通風、通気性を損なわないようにしなければいけない。現代の難題は断熱材と屋根の防水材である。断熱材は室全体を暖めたり冷やしたりすることが前提に適用される仕様であるが、隙間だらけの町家では、それはもともとあきらめたほうが良い。屋根防水の難題はトントン(土居葺)が廃れたことで、その代替え構法が抱える課題である。ルーフィング類はいずれも通気性がなく、多量の水分を含んだ暖気が小屋裏にたまり結露を招く。トントンは軽くて通気性があり防水性も高いうえにコストも低かった。葺き替えに当たっては、杉皮で補修して、できるだけ既存を残すようにしたい−風で飛ばないようにして−。またトントン葺きを復活させる努力と、通気性と防水性を備えた、自然素材による──化学繊維のものはある──防水仕様の開発が望まれる。 |
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5)湿気を避ける
・キッチンや洗面化粧台を箱形にして設置することで、配管の漏水や水の飛び散りが見過ごされ、裏側に湿気がたまる。 ・トオリニワに埋め込まれた給排水管や排水桝廻りからの漏水。 ・床下の地盤レベルより廻りの庭、ロージの地盤が高いために、雨水が床下に進入する。 ・1階床−ハシリの床組が多い−を板張りにすることによる、漏水の見過ごしや通気障害。 ・隙間風を防ぐために、縁側の下の空きを塞ぐことによる通気阻害。 ・修理用の瓦や木材を床下に保管することによる通風阻害。 ・畳下に防水紙を敷いて通気を阻害。 ・外壁をモルタルで補修したために起こる、吸水による漏水や防水紙の結露。 ・大壁改修による、壁内漏水の見過ごしや内部結露。 ・断熱材による床下、外壁、2階天井、屋根の密封。 ・空調をするための閉め切りによる、通風、通気障害。 ・上記、屋根の防水紙によるもの。 改修に当たっては以上の各障害や故障を起こさないようにする。 2005.5.1 |
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