神泉苑狂言舞台改修工事ー中京区設計:末川協建築設計事務所/施工:辻工務店 神泉苑狂言舞台改修においての問題点として、演じるうえで建物の安全性が確保されているのか、床下の湿気、一階楽屋の天井低さなどがあげられた。 まず建物の柱を20センチ根継ぎで揚げ前し、10センチを床下の通風に利用し、残りを一階楽屋の天井高に利用することにした。揚げ前は普段町家の改修工事時と同じ要領で行ったのだが、やっているうちに大きな違いが出てきた。この建物は狂言舞台ということもあり壁が少なく土壁が極端にない、つまり構造体は古くなり緩んでいるであろう仕口に委ねられている訳である。建物自体にいつもの粘りが感じられない気がした。改めて竹小舞下地土壁の重要性を感じた。(以前改修させて頂いた現場の壁下地がきすりだったのだが、揚げ前の時あっさり落ちたのを思い出した) 新設の通り柱 後、奈落に掛る梁及び管柱が蟻害にあっており抜替えることに。梁差替えにおいて上から落とし込む事が出来ないので(両端共上部柱有)管柱を通柱にし雇ホゾにて結合、工事進行中に見つかった蟻害を受けているササラは舞台に使われていたササラを再利用する事に。 想定外だったのは隣家小屋組が舞台構造体に絡まっていた事である。隣家小屋裏に梁を新に入れ構造体の切離しを行った。 伝統木造は数あれどやらなければならない事とやってはいけない事は共通項である。改めて狂言舞台の構造改修をさせて頂き、感じた所である。 抜き代えた胴差、ササラ 揚げ前工事 辻 勇治(京町家作事組)
2015.1.1 |