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京町家作事組

短い工期で居酒屋に改修 …清水家


山内 茂(作事組理事)


改修にあたって
 現地は、京都市中京区衣棚通御池上ル東側であり、建物の間口は3間、奥行5間半、延床面積32.5坪の京町家でした。京町家情報センターより調査依頼があり、今年の1月20日に、下見に伺いました。
 その当時は、前の方がお住まいになって居られ、十分に調査することが出来ませんでしたが、目につくところでは玄関にはアルミサッシの引違いが入っており、虫籠窓もアルミサッシに変えられていました。
外観(改修前)
  外観(改修後)
 1階は、表から、ミセの間6帖、ダイドコ4.5帖、オクの間6帖(押入床付)となっており、2階は、厨子8帖板間、ナカの間4帖半、オクの間6帖(押入床付)で、トイレは外庭にありました。
 この町家を清水家が購入され、「居酒屋として改修をし、4月1日にオープンしたい」と工事を頼まれました。
 ただし、前に住んで居られた方が引越されたのが、2月25日で準備期間がほとんど無く、即3月1日から改修工事に着工いたしました。予算と工期の関係で構造改修は将来に委ねることになりました。1階ミセの間・ダイドコを土間にし(コンクリートたたき仕上)、階段を取り替えて西向きに変更いたしました。
 その他の改修の要点は、以下のとおりです。
・玄関入口もアルミサッシから木製格子戸に(古建具を使う)
・オクの間の6帖は床板不陸がひどく、大引・根太・床板を取り替え
・畳は表替え
・トオリニワとナカの間・ダイドコの仕切りにカウンターを新設
・トオリニワは厨房室に
・2階厨子は、一部を吹抜にして、一部を客席にした。ナカの間・オクの間は既存のままとし、畳表替えと壁の塗替え
・1、2階とも建具はほとんど古建具を調達して建合せ
・内部壁面は痛みがひどく、1、2階部屋及びトオリニワ・火袋とも水洗い後、京土壁中塗仕上に
 工期が短く(約3週間)、壁の乾きが心配でしたが、天候も良く、予定より早く工事が終わり、「居酒屋 清水家」 が無事4月1日オープンでき、非常に喜んでいただきました。
(設計:アトリエRYO/施工:山内工務店)
階段(改修前)
  階段(改修後)
1階オクの間(改修前)
  1階オクの間(改修後)