• 京町家net ホーム
  • サイトマップ
  • アクセス・お問い合わせ
京町家作事組

上京・Ng邸


塩 麻奈未(NOM建築設計室)


設計者のコメント
 姉の住んでいる実家の老朽化が甚だしいため、改修するか、解体した方が良いのかという相談が、名古屋に住んでおられる弟さんから事務局に入った。平屋建の主屋で暮らしていて、ハナレ(2階建)は物置として利用していた。
 主屋・ハナレ共、かなり傷みが進んでいて、特にハナレは外壁の杉板がほとんど朽ちて無くなっており、荒壁が崩れかけていた。また望楼があった所から長期にわたって雨漏りしていた。
 主に主屋を全面改修し、ハナレはこれ以上ひどくならないように最小限の改修とした。
 主屋には、北側に庭と、庭に面したゲンカンがあったが、屋根が崩れかかっていたため、将来元に戻せるようにしながら、押入れとして改修した。
 ハシリニワを占領していたユニットバスを外部に移設し、外にあった便所を囲い、脱衣室を作った。
 床組は組直し、畳は表替え(一部取替え)、壁はすべて塗替えた。
 主屋は江戸期建造であると思われ、骨組みも細く、かつ以前の改修で歪んだまま2棟を接続していて、歪み方や沈み方が一様ではなく、揚げ前・歪突きでは苦労した。
 ハナレは、老朽化はしていたが、構造はしっかりとしていたため、将来改修する時に無駄にならないように、屋根・外壁とも応急的に改修した。


改修前・座敷 裏の物置とともに柱が腐り、雨漏りも激しく、壁も天井も下がっていた。   改修後・座敷 正面壁などすべてを中塗り仕上げとした。吊り床は元の位置で部材を補足し復元した。

 
改修前・ハシリ おくどさんの前にユニットバスが占拠し、狭苦しく使い勝手も悪かった。   改修後・ハシリ 天井の野地板は傷んでいたので杉板張りとし古色付けをした。おくどさんはもう一度積み直した。