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その5  真鍮(しんちゅう)
 堀 宏道(作事組会員、電気工事)

昔、祖母が座敷に新聞紙を広げ、その上にお仏壇の道具をいっぱい並べて、1個つづ丁寧に磨いたのを思い出します。コンパウンド等はなく、クチャクチャに丸めたまた別の新聞紙、それで懸命にこすっていたのを。
ピカピカに光るのになぜか手は真っ黒になってました。
またなぜ祖母がしょっちゅう磨いているのか、子どもの頃の不思議でした。
最近の仏具はコーティング処理されていて、そういう風景?は見られなくなったかもしれません。
ところが照明器具まではコーティングされてはいなかったのですね。
いまではこのて(種)の器具のほとんどがまっ黒。
本当は綺麗な黄金色であるのに。

右の写真の器具もまたその材質が分からないほどに真っ黒になっていました。そして折れ曲がって電線でかろうじてぶら下がっていた、ブラケットが2台。
これはほっておくとすぐに酸化してしまうやっかいな金属、
そう真鍮(しんちゅう)です。
<ロウ付け>
半田付けなら得意なのですが。
ロウ付けをおこなうには、付けられる側も同じ温度にしなければならず
その際、この(真っ黒の)酸化皮膜がジャマ(保護)をして温度が上がらない。
だからその部分をヤスリで磨き、バナーであぶった。しかし
真鍮の熱伝導は高く、破損場所以外のところの接続も溶けてしまい
危うくバラバラになるところだった。
バーナーの火の距離で温度を調整しつつ、銀ロウを付ける。
安い銅ロウでもいいが、銀ロウの方が溶けやすくやりすい。

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修理箇所だけが綺麗になってしまい、どうしょうか?黒く色を塗るかとバカな事を思ったが、この際全てを磨くことした。
しかしこれが大失敗?(写真のへこんだ溝の部分)
細かいところまで磨き上げるのにロウ付けより苦労した。
おばあちゃんに聞いとけば良かった、なにか知恵があったはず。


電線を通してモーガルソケットは新品を取付た。
PSEの為、一応メガーで漏電検査をする。
取付はやはり真鍮のネジで止めておこう。

黒く古めかしい器具だったのが新しい物の様に輝いてしまいました。
まぁそれがご不満でも、
しばらくほーって頂いていたら、
元通り真っ黒になりますから、、。
写真 堀内工務店