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イベント・オープンハウス概要 イベント詳細 オープンハウス詳細 楽町楽家2012に想う 12楽町楽家トップ
山本英雄(京都市上京区)
 楽町楽家は第3回から見学者としてオープンハウスを主体にいろいろな町家を見学しお話をお伺いしてまいりましたが、今回「京町家友の会」様からのお声がけもあり、オープンハウスとして参加させていただきました。今までは何かのかたちで参加したいとは思っておりましたが、イベント会場には狭すぎるし、建築当時のまま残されている町家と違って、住みよい様に改修しているので、オープンハウスで参加するのはおこがましいと思っておりました。今回は「住まいとしての町家」ということでしたので、思い切って参加いたしました。当日までは、こんな家でいいのだろうか?町家のイメージを壊さないだろうか?といろいろ心配しておりましたが、多くの方に見学いただき、「楽町楽家」の旗を降ろす余裕も無く1時間延長になりました。5月26日は約50人、6月3日は約20人の方に来ていただきました。
 学生の方は建築の勉強、中年の方は主に町家生活をする為の見学、高齢の方は懐かしさでの見学が多く、お話をしていると「実際に住んで居られる町家が見たかった」と多くの方がおっしゃられて、大変楽しいイベントとなりました。あるご夫婦のお話ですが、ご主人が町家に住みたいと思っておられるのですが、奥様がなかなか賛成されないので、実際の町家暮らしを見てみようと見学にこられました。奥様のお考えが変わったかどうかは判りませんが、一人でも多くの理解者が増え、一軒でも多くの町家が残るお手伝いが出来たことに感謝いたしております。
 私は若い頃、町家のことは何も知らず、木造の離れを壊して洋風の白い家を建ててしまいました。このことからも、いかに若い方々に向けて、町家の素晴らしさ、伝統の美しさを京都人として発信していけるか、私も微力ながら考える必要があると思っております。
 今回、CHOBO様のような若いグループが「楽町楽家」を運営してくださったことは、大変うれしく素晴らしい事だと思っております。来年も楽しい「楽町楽家」を期待しております。

浜谷冨美子(京都市中京区)
 7年前に縁あって中京の町家に住み始めました。(「京町家通信vol. 61 京町家再生の試み」に掲載)お千度、地蔵盆、運動会等、町内が集まる機会が多い京都の生活にようやく慣れてきたところです。
 楽町楽家は毎年の春の楽しみの一つです。今年のテーマが「住まいとしての町家を体感する」と聞いて、我が家にもできるかもしれないと、ときめきを感じました。また「町家暮らしを楽しむ人と人が繋がる」という企画者のイメージにとても共感し、お向かいさんをお誘いして、オープンハウスへの参加という一歩を踏み出すことになりました。
 この楽町楽家の雰囲気がより広がればと、町内に回覧板でお知らせしたところ、他にも協力いただける家もでてきて、新しい町内のイベントが増えたかのように感じました。
 果たして普通の家を見るために、どれくらいの方が来てくださるか不安でしたが、ふたを開けてみると、来客は途切れることなく、家中すべて公開していた我が家では、ろくに昼食もとれないありさま。それでも多くの方々とお話しするのは貴重な体験でした。
 「私も町家暮らしなんだけど…」とおっしゃる方や、町内外のご近所の方が予想を超えてたくさん来られ、特に、以前この家に住んでおられた方の来訪はうれしい出来事でした。昔の家の様子、町内にあった路地の話などをお聞きして、時間の繋がりまでも感じることができました。
 日常あたりまえに住んでいる家ですが、訪れた方に説明する中で「私って、この家のこんな所が好きだったんだ!」と気づかされたり、伺うお話の中から新たな魅力を発見したり。 これらの体験は、一緒にオープンハウスに参加したご近所さんも一緒のようでした。終わった後の目のキラキラが物語っていましたから。「来年はお宅もご一緒に」とご近所を勧誘する姿もありました。
 楽町楽家は、町家で人と人とが繋がることによって、この家に、この町内に、言葉では表せない何かを置いて行ってくれたような気がします。ありがとうございました。

田中ひとみ(京都市下京区)
 田中家の楽町楽家への参加は4回目ですが、これまでは作事組との共催でした。私たち夫婦が中心のオープンハウスは今回が初めて。そこで、普段からお付き合いのある藤津紫さん(ガーデンデザイナー)とご友人の由上恒美さん(陶芸家)に協力を得ました。「にわあそび・うつわそだて」というテーマで、お庭に花で虹を描き、空をイメージした陶器作品などをあちこちに展示しました。
 田中家には2歳の息子がいます。育児真っ只中の私たちにできるイベントとして「町家で子育てトーク」を企画しました。参加者は大人22名、2ヶ月の赤ちゃんから9歳までの子どもが9名。夜は寝室として使っているオクノマが人でいっぱいに。時計回りに自己紹介した後、我が家での日常生活や子どもが生まれてからの改修などについてお話しました。日照条件について質問があり、実際に電気を消して昼間の座敷の暗さを体験していただく場面も。また、茶箪笥を子どものおもちゃ入れにしていることに興味をもたれた方もありました。
 子育てトーク効果か、ご家族でのご来場が多かったように思います。印象的だったのは知らない子ども同士が自由に遊び、庭を歩き、家の中を走り回っていたこと。町家というと大人の空間というイメージがあるように思うのですが、子どもにとっても居心地のよい空間なのだと再認識しました。
 4年前、行きがかり上始まった町家暮らしですが、私たちはおもしろがりながら生活しています。おいでの方にもそれが伝わったのか「町家=辛抱して住む、というイメージが変わった」、「畳がたくさんあっていいなぁ」、「通り庭の天窓の明かりが素敵」等の感想が寄せられました。町家に対して漠然と興味があった方にも身近に感じていただけたのでは。
 我が家は1日のみの開催でしたので、翌日からは見学者として他のオープンハウスに伺いました。住んでおられる方々といろいろお話できましたし、どのお家も本当に居心地がよかったです。
 今回オープンハウスを開催&見学したことで、あらためて町家暮らしのよさを感じることができました。では、今夜もオクノマに蚊帳を吊っておやすみなさい・・・。

吉田玲奈(楽町楽家実行委員会・まちぐらし集団CHOBO)
 今回、「町家暮らし、はじめませんか」というテーマで楽町楽家2012の企画、運営スタッフをさせて頂きました。今までの楽町楽家の成果もあって、町家という言葉は好意的に広く知られるようになったと思うのですが、どうしても「特別な家」で、住まいとするには敷居が高いというイメージがあるようでした。かしこまった外観からでは表面的な町家の良さしか分からない、内部空間やそこに暮らす人々の豊かな生活を知ってもらえればもっと身近に魅力を感じてもらえるはず、との思いで、半年前からああでもないこうでもないと準備をしてきました。無事会期を終え、今は感謝の気持ちでいっぱいです。経験不足ゆえ至らない面や反省も多かった運営メンバーでしたが、その分皆様に助けて頂いた面が多く、ご参加、ご協力戴いた皆様と作り上げた楽町楽家であったと感じています。特にご参加頂いた皆様には沢山の方へのおもてなしに連日ご協力をいただき、本当にありがとうございました。
 会期中には、私達も予想していなかった言葉や発見を沢山戴きました。今回の大きな試みであったオープンハウスでは、「訪問すると、どのお宅でもお住まいの方があたたかく迎えてくださった」ことに感激したとの声、「町家=我慢のイメージだったけど、普通に楽しそうに暮らしていた」「建物もそうだけど、それぞれの住まい手の生き方に刺激を受けました」という感想を頂きました。なんと、町内ぐるみでオープンハウスにご協力いただいたところもありました。(まさに「まちぐらし」!)また各種イベントでは、手をかけながら暮らす楽しさを伝えていただきました。「人間だって病院に行くし、車だって車検があるのに、人生の大きな買い物で長い付き合いをする家がメンテナンスフリーっておかしいよね」とおっしゃっていた方もいました。
 他の運営メンバーの感想では「京都市内で小さなパチパチファイヤー・きらきらお星様・無数の感動があったと感じた」との事!私も皆様のおかげでますます町家のことが好きになってしまいました。家を愛して暮らしている人達の姿が、この時代、これからの社会に大事な方向を示せたのなら、なにより嬉しく思います。