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京町家情報センター
おそうじ隊出現
 3月末の桜にはまだ少し早い頃、堀川今出川近くのとある町家で、時ならぬ大掃除が始まった。通り庭の上、吹き抜けの火袋の壁のホコリを払い、梁の上に長年積もったホコリも拭き掃除をする。2階ではタタミを上げて、床板を隅から隅までていねいに拭いていく。



この建物は、古い形の厨子2階で出格子のあるもので、空家になったので貸したいとの相談が情報センターにあったもの。それを情報センターを手伝ってくれている学生が中心になって呼びかけて、今回のおそうじ隊が実現した。集まったのは学生を中心に10人ほど。家主さんも中にはいっていただいての大掃除となった。掃除道具は「さいはらい」と「ほうき」と「ぞうきん」という古式ゆかしいもの。学生たちがうまく使いこなすか見ものだったが、やはり違う。さいはらい一つとっても、学生たちは押し付けて拭くように使う。一方、ベテランのオバチャンは軽く、踊るようにリズミカルに使う。掃除の仕方を含めて学生たちには多くの発見があったようで、2階のタタミの下の板が1階の天井になっている(大和天井といわれる)などという単純なことでも、掃除をしてみて実感したようだ。終わりに近づく頃になると、住みたいと学生たちが言い出した。
そうなのだ。掃除をしたり、いろいろ家に対して働きかけていくことで(やった効果がはっきりわかるとよけいに)愛着がわき、それが住み続けようという力になる。現代が目指している手間のかからない家、メンテナンスフリーの家というのは実は使い捨ての家だったのだ。町家は手間がかかるが住み続けたい家、ということができる。
通り庭のおくどさんもぴかぴかに拭きあげて、おそうじ隊は去っていった。今度は前のべんがらを塗り替えたいね、という言葉を残して。