• 京町家net ホーム
  • サイトマップ
  • アクセス・お問い合わせ
京町家情報センター
現況報告

東京相談会報告



11月5日(土)、東京の八重洲にある立命館大学東京キャンパスにて、「京町家に暮らす」‐京町家の暮らしを次世代につなぐために‐と題して、京町家再生セミナー及び京町家相談会を実施しました。

この企画は、京町家再生研究会・京町家作事組・京町家友の会・京町家情報センターから、設計士や大工・不動産業者が関東へ出向き、今回で4年目になります。毎回多くの方に来ていただき、京町家の魅力や京町家での暮らしについてお話しをし、実際に京都への移住や京町家での暮らしを希望されている方からのご相談をお聞きしております。

 実際にご相談の中から、京都に物件をお持ちでこの機会に京町家作事組で改修をされ、現在東京と京都を行き来し、京町家での暮らしを始められた方もおられます。また、京町家友の会に入会され、友の会のイベント等に参加され、京町家への興味を高められている方もおられます。その他にも、京都に京町家をお持ちで、活用に困られている方もあり、今後どのように活用・保存していくかというご相談もありました。
 
 前回の東京相談会は特に、京町家を活用した宿が世間で騒がれており、関東にお住いの方も関心が多く、多数の参加者が来られ、相談の内容もほとんどが投資向け・宿泊施設としての利用を希望されている方でした。
 
 京町家の宿も良いのですが、私共の活動としては、京町家の建物もそうですが、京町家での暮らしやそれに伴う文化の継承を目的としております。ですので、今回は、居住または職住一体の希望者を募り、宿泊施設としての活用を目的としている方はお断りをして行いました。
 
 講演会の内容も「町家暮らしのイロハ」と題し、京町家情報センター幹事 京町家専門店 エステイト信 井上信行氏に講演していただき、地元で育ってこられた井上さんならではのご意見・話しで、京都の町がどうやって出来てきたのかという歴史の詰まった話しや京都で暮らす際の注意点や引っ越しの際の挨拶、町内会や消防団などの地域との関わりなど、とても深い、他ではなかなかこんなに京都人としての意見を聞けないであろう話しをはっきりとしていただきました。今回来られていた参加者の若いご夫婦からも、引っ越しの際のどこまで挨拶に行くべきかなど心配な点や子育てについて保育園・幼稚園についてなど、関心も高く質問があがっていました。その後のアンケートでも「思った以上に地域の結びつきが強い」「物件をただ手に入れただけでは元々住んでいる方に失礼にあたると感じた」などのご意見もあり、良い話しをしていただいたのだと改めて感じました。
 
 私自身も九州から京都へ移住した身でありますが、京都は排他的ではないと感じます。歴史的にも昔から移住者は多くおられた地域でしょうし、実際に京町家に住んだ際も地域の方にはとても歓迎していただき、お世話になりました。今では、マンション暮らしが増え、そこでの関わり方が当たり前になってきていて、町内との関わり方とのギャップが生じているかもしれませんが、町内の中で暮らしていた昔からの当たり前のつきあい方を当たり前にやっていれば、とても歓迎して下さると思います。めんどくさいこともあるかもしれませんが、助けてくれることもたくさんあります。それは、京都だけに関わらず、それぞれの地域にあるもので、本筋は同じでそれを守ることが大切だと思います。京都はコンパクトな町で自然がすぐそばにあり、住んでみると本当に暮らしやすいと思います。  京町家にお住まいをお考えでしたら、こういう地域や暮らしの話しを前もって知っておくことは大切です。特に京町家は、これまで繋がれてきたその京都の、日本の文化をこれから担う一員としての前向きな気持ちを心の隅にちょっと持って暮らしていっていただきたいと思います。 

京町家情報センター事務局 城 幸央

過去の報告