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京町家情報センター
現況報告

報 告◎各地の流通事情 ―交流会にむけて

松井 薫(情報センター事務局長)

 いつもは京町家に移り住んだ人のその後の報告をお知らせしていましたが、今回は間近に迫った「第2回全国町家再生交流会」に向けて、テーマの一つでもある「各地の町家不動産流通の様子」をかいつまんでお知らせしようと思います。
 昭和20年以前に建てられた木造住宅は、もちろん京都だけでなく全国に残っており「伝統的建造物群保存地区」の指定などで保存されているものも多くあります。そういったところの多くでは、町並みの保存や地域の文化を継承していく意味からも、空いている家に新しい住人や活用しようとする人たちをいかに繋いでいくかが問題となっており、さまざまなアプローチが試みられております。

●民間同士での賃貸・売買
 知っている人同士の間で、貸し借りや売買が行われている。地域で個別にぽつぽつと発生するもので組織されたものでもなく、不動産業者が介入することは意識の上にもない。実はこのパターンが戦前木造の空き家流通の主流だと思われます。民間組織で意識して空き町家の情報を集めているところも、少しずつ出てきました。

●関連NPOが間に入る
 伝建地区などで、町並み保存や活用のNPOが組織されているところでは、そういったNPOなどが空き町家の情報を集め、活用したい人に情報を提供して橋渡しをしているが、不動産業者の関与はないもの。流通する数がごく少数のため、不動産業者は関わってこないものと思われます。

●不動産会社が仲介
 ある程度以上の流通量が見込める地域では、仲介の部分は不動産業者で行い、情報収集や、活用者への告知、情報提供を民間や、NPO、行政の窓口が行う場合があります。仲介時点での契約にプロが入ることで、よりスムーズな流通が実現しますが、町家に対しての知識や、再生していく意義などを共通認識として流通に関わる全員が持っていることが大切になります。京都ではこの部分が欠落している不動産業者が、単独で仲介して問題をおこす場合もあり、要注意です。

●特区による方法

竹原の町並み
 広島の竹原では、宅地建物取引業の免許なしでも仲介業務ができる「町並み再生特区」の認定を受けて、NPO法人が空き町家の情報収集、情報提供、所有者から借りた町家を修繕して転貸したりという活動を行っています。小規模な地域での流通で、不動産業者の関与が難しい場合のひとつの解決手段となるものと思われます。

●共通の問題点
 京都と他の地域との大きな違いは、何といっても数が圧倒的に違うということです。重要伝統的建造物群保存地区は全国で79地区、面積2,996haで、その中にある14,300軒が保存すべき建物として特定されていますが、京都は上、中、下京区だけで面積2,131ha、その中に2万数千軒の町家があるわけですから、全国を合計したものと、京都の都心部分とが対応するぐらいの数があるということになります。そこで、本来不動産仲介時に必要な宅建業の免許を持った不動産業者の関わり方が問題になってきます。
 また、いろいろな分野の人たちと協働する場合は、町家についての共通の認識が必要になってきます。貸す側、借りる側はもちろん、間に入る組織の人々、不動産業者、改修工事をする人々、さらには行政や、関わる金融機関等で、町家再生に対しての価値観を共有することが大切になります。そこにはその地域での特有の問題も内在しており、全国共通の手法で解決できるわけではありません。
 今度の第2回全国町家再生交流会では、分科会の一つとして流通の問題を取り上げ、各地での具体例をそれぞれの場所でご活躍されている人たちから紹介してもらいながら、共通の問題点について、より活発な流通が行われるにはどうすればいいのか、を話し合いたいと思っております。空き町家の不動産流通に関心をお持ちの方のご参加をお待ちしております。




事務局覚え書き

オーナー登録数  延87
ユーザー登録数  延689
物件登録数     延697
契約件数     83
 (07年10月10日)

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