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京町家情報センター
京町家に移り住んで──岩根・中村邸

今回は上京区のとある路地のお宅。画家の岩根利江さんと建築士の中村侑介さんが共同でお住いになっているとのこと。お話を伺いました。
<聞き手:城幸央(京町家情報センター事務局)>


長屋外観

生活風景
城: 町家に住まわれたいきさつは何ですか?
岩根: 絵を描く場所が欲しくて、広くて明るいアトリエを構えられる家を探していました。そこで、友人が住んでいたこの家が空くことになって紹介されたんです。ただ、逆にちょっと広すぎて、どうしたものかと。
中村: 私はこの春まで東京にいたのですが、京都に来ることになり家を探そうとしていたところ、岩根さんから一緒に借りないかと持ちかけられまして、即答でイエスと返事をしました。
城: 家もまだ見ていないのに即決ですか?
中村: いやいや、その友人というのが共通の友人でして、この家に遊びに来ていたんです。
城: なるほど、そういうご縁があったのですね。実際に住んでみていかがですか?
岩根: 住みやすいですよ。共同生活の方もまあまあ上手くいってます。お互い異性と意識していないんでしょうね。
中村: ...
城: 町家に暮らしてみて何か感じることはありますか?
岩根: あ、開放感があるので気持ちいいです。特に今の季節はいいですね。制作も順調です。
中村: この家はご覧の通り長屋建てで、そんなに良い造りとは言えません。それに前の前の住人の方がかなりざっくばらんに改修しちゃいまして、畳は合板に変わっちゃいましたし、町家の風情なんかは残っていません。ただ、今はこのラフさが気に入っています。
岩根: 私もそのあたりは同感で、思い切って絵を描いています。家に手を入れるのは許されているので、今後は少しずつ伝統の綺麗なところを入れて作り直していってもいいかなと思っています。
中村: 自分たちの身の丈にあった暮らしができていると言えるのでしょうか。早く庭は整備したいですね。
城: 美しい町家暮らしはもちろん大事ですけど、自分たちが心地よくいられる暮らし方っていうのが見えてくるようなこないような。
中村: 確かに、のびのびと生きていける家のヒントが町家にありますよね。
岩根: 私はずっとマンションに住んでいましたが、どうも窮屈で。壁が少ないからなのかなぁ。建具ばっかり。そうだ、障子紙貼り替えなきゃね。
中村: 建具を移動すればいいから融通はきくよね。建て付けも直さなきゃな。
城: この家は路地にありますが、ご近所付き合いはどうですか?
岩根: めっちゃ大変です。特にお隣さんが。。。
中村: あの、気がきく?お節介なおばちゃんで、お話好きなんです。
岩根: 2年間半のマンション暮らしでの訪問者数をこの2ヶ月であっさり抜き去りました。
中村: 人との関わり合いが町家暮らしの本質なんでしょう。
岩根: 大家さんはめっちゃいい人ですよ。お家賃渡す時に必ずお菓子くれますし。
城: どうもありがとうございます。お二人の益々のご活躍を期待しています。

2016.7.1