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京町家情報センター
京町家に移り住んで──京町家シェアハウス

 京都市左京区北白川。五山の送り火の「大文字」が”ドドンッ!”と麓から望めるエリアに、京町家を改装してできたシェアハウス「大文字セブン」があります。今回は千葉県から就職で京都に移り住み、シェアハウスオープン当初から住んでいらっしゃるY様に町家での生活をお伺いしてきました。
<聞き手:水口貴之 (株式会社CONTEMPORARY COCOON ROOM 702)>

ーー1、Yさんが京都に来ることになった理由を教えてください。
 私はもともとランドスケープや建築に興味があり、また姉も同じところに通っていたこともあり、大学四年間を千葉県で過ごしました。建物だけではなく、景観をデザインすることも重要だと思い園芸学部で造園を勉強していました。そして就職をするタイミングになり、全国で候補を探していたのですが、やはり造園の”本場”といったら京都だ!と思って、京都で就職先を探していたところ、縁あって京都市左京区にある造園会社で働くことが決まったので移り住むことになりました。

ーー2、町家に住まれるきっかけを教えてください。
 大学時代は普通の1ルームに住んでいたのですが、いろんな方と一緒に生活することにも興味があったのでシェアハウスを検討したところ、あるサイトでこの”大文字セブン”に出会いました。複数の物件を見て回る予定だったのですが、一番最初に見たこの建物の雰囲気が気に入ってしまって、”せっかく京都に住むなら木造建築の町家で、京都っぽい暮らしもいい!”っと思い、その後も他の物件も見て回ったのですが、ここに住もうと心では思ってしまっていました。

ーー3、実際に住んでみていかがですか??
 とても気に入ってます。まず、賃貸でこんなに広くてゆったりした雰囲気のある一軒家に住むなんてできないですしね。古い建具とか部品もそのまま使われているので、そういうのを見て可愛い!と思っています。玄関や土間廊下、古いタイルの洗面台とかもあり、町家でしか味わえない雰囲気があります。また、町家に住む時に一番水周りが気になるのですが、この家は全部新しくなっているので、昔の雰囲気はそのままに便利なところは便利にと”いいとこ取り”していています。この家は縁側もあって、過ごしやすい季節は、ぼーっと庭を眺めたりできてお気に入りの場所です。
 周辺環境でいうと、住宅街の中にあるので、近所の方の室内の話し声がたまに聞こえてくるくらいものすごく静かです。たまに近所で何か催しをやっているとその音もよくわかるので、シェアハウスのみんなで近所の地蔵盆に参加させてもらったり、近くの北白川天満宮のお祭りを見に行ったりしました。小さな地域ごとでいろんな催しがあるのも、京都っぽいなぁっと思っています。

ーー4、では、ここはちょっとな、というところはありますか?(笑)
 冬は寒いです!ここはシェアハウスで、ガスストーブを使えないので特にそうだと思います。冬場はいつもエアコンにお世話になっています。夏は、家の両側の窓を開ければ風は通るのですが、でもやっぱり暑いですね(笑)。それでも最近はこういう”季節ごとの変化を感じながら住む”というのもできないのでいいなと思ってはいます。

ーー5、では、シェアハウス、という暮らし方についてはいかがですか?
 それぞれのシェアハウスごとに特色はあるのだと思いますが、この”大文字セブン”というところは、まったりゆったりなシェアハウスです。何か入居者イベントを定期的に活発にやっているわけでもないので、本当にみんな自然体で”住んでいる”感覚ですね。何気なく居間で一緒になるとみんなでご飯を作ったりする、そんな気軽な関係です。でも家族や友達と住むのとは違って、お互いに決めたルールに則って生活するので、やっぱりちゃんとしているので大きなトラブルとかはないですね。元々一人暮らしをしていた時、すごく寂しかったので、私にはとてもフィットした暮らし方です!


 今回は、一つの大きな町家を7人でシェアして住む、という暮らし方をお伺いしました。住んでいる方の日々の手入れと管理会社の清掃とで、室内はどこもとても綺麗でした。“住む”ことで”保全する”、これからもこのような活用が増えていってほしいと思います。

2016.3.1