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京町家情報センター
京町家に移り住んで──三条烏丸の貸し切り宿「すずらん」


 昨年夏まで京町家情報センターの事務局があった京町家で、ゲストハウスを経営されている松田様にお話しを聞きました。
聞き手:京町家情報センター 
テナント京都プロデュース 足立正之


――ゲストハウスとはどのようなものですか
 ゲストハウスとは旅行者向けの宿泊施設の一つで、ホテル、旅館よりも小規模で素泊まりで気軽に泊れるものです。相部屋や個室で色々な方が泊まるタイプと、「すずらん」のように一軒を一組に貸し出すタイプがあります。海外ではホテル、旅館に並んで一般的な形式となっています。

――ゲストハウスを経営しようと思われたきっかけを教えてください。
 普通に会社員をしていましたが、海外旅行先でゲストハウスを利用した時に、とても良い体験をして、自分でもやってみたいと思うようになりました。いろいろな国から来ている旅行者が一つのゲストハウスに泊まって、他の国の文化を体験したり、旅行の情報を交換したり、世界を感じるとても素晴らしい経験でした。それを自分でやりたい、またやるなら、京都で京町家でやりたいと思っていました。京町家には、日本の歴史や伝統文化が詰まっています。それを「すずらん」で、日本や世界に発信きればと思っています。

――三条衣棚の京町家との出会い
 京町家情報センターの登録不動産業者さんから紹介をしていただきました。たまたま、その少し前に、情報センターの松井代表の京町家の講演を聞くきっかけがあって、その事務局で使われていた京町家ということで、不思議なご縁を感じました。

――許可はスムーズに取れましたか
 旅館業法の許可が必要なのですが、やはり大変でした。この京町家で行けると判断できるまでに、区役所の保健衛生課、建設課、消防に約1ヶ月半の間何十回と通いました。役所の方も出てこられる方によって返答が違ったりして、、、消防のほうも施工する電気屋さんと来てくれと言われていっしょに行ったりしました。最後は、役所の方が事前に寸法を測りにきてくれて、お墨付きをもらってから、賃貸契約、そして正式に許可申請となりました。
 消防の規定については、来年からより厳しくなるようで、開業後の宿も変更する必要があり、大変ですが法令順守でやっていきたいと思います。

――改装についてどのような点をポイントにされましたか
 許可に適合するのは前提となりますが、京町家であることでポイントとしたのは、全てを新しくするのではなく、古さを上手く残しつつ、快適に過ごせる施設をつくるか、このバランスを考えて改装しました。また庭木を自分で切ったり、自分でできることはできるだけ自分でやりました。当初、白蟻の害が少しありましたが、そこは家主さんが直していただきました。

――ご近所さんとのお付き合いはいかがでしょう
 この京町家でするかどうか検討中の段階で、前もって近隣の方に挨拶に回りました。その時に説明をさせていただいてから、契約に進んでいきました。
 開店後も町内会さんとは積極的にお付き合いしておりまして、町内の総会にも出席してきました。そこで、ご挨拶をさせていただいた方より、先日、お客様をご紹介していただきました。狭い町内ですので、ご近所付き合いは今後も大切にしていきたいと思っております。

――経営はいかがでしょうか
 オープン半年が過ぎましたが、ぼちぼちですが軌道に乗りつつあります。年末年始や桜のシーズン、GWなどはいいのですが、それ以外の季節の平日は苦戦しています。今は日本人のお客様が7割を占めていますが、今後は、平日に連泊していただける海外のお客様を増やすために、情報発信をしっかりしていきたいと思っています。円安で日本への旅行客が増えているのは実感していますので、バケーションレンタルとして中長期に借りていただけるようになればと思っています。

――今後の抱負をお聞かせください
 以前に京都に住んでいた日本人の方、外国人の方は、ホテル、旅館ではなく、このような伝統的な京町家の住宅に泊まりたいという希望が強いと思います。「すずらん」で京都と京町家の良さを世界中の方に知っていただけるようになりたいと思っています。
2014.7.1