――町家にお住まいになられるきっかけを教えてください。 主人の定年を機に 京都に住みたいと(主人から)相談があり、京都に住むならばマンション等ではなく私は「京町家」に住んでみたいと思いました。探し始めて三ヶ月程して、いまの「町家」を主人が見つけました。 京都は全く知らないので、だめならばその時にまた考えればいいと気軽に(神奈川の)湘南から引っ越して来ました。 ――京都に住むなら町家だったのですね。 定年後、のんびり「京都」に移り住むのならば、「町家暮らし」しか考えられなかったのです。「京都の風情」を生活の中で実感したかったのです。 ――町家を試してみてダメならばそのときにまた考えれば、と思っておられたようですが、実際にお住まいになられていかがですか? まず、引っ越して一年と二ヶ月になりますが、とても満足しています。京都は冬寒い、夏暑い、と聞いていましたが、「町家」にはそれなりの工夫があって思っていたより快適に過ごしています。 そして何より、京都の気候に合った「食生活」を楽しんでいます。 ――四季の「食生活」など今、一番の楽しみにしておられることというと何ですか? 京都に住んでみないとわからない「京都風情」というものを探すことと、見つけること?です。 ――京都には地域や建物に根付く文化や風習などがありますからね。京都と町家、Hさんのご感想は? とても満足しています。実は私達は湘南の「大磯」で築100年の古民家に、約10年の間、暮らしてきました(75坪)。いまお借りして住んでいる「町家」は築72年(約30坪)。狭い敷地ではありますが、町家の雰囲気を色濃く残し、風通しもよく、快適に暮らしています。 老後の夫婦2人暮らしにはぴったりの「住まい」仕様です。広くもなく、狭くもなく、なのです。 ――おしゃれに着飾るというような感覚で、座敷に飾られたインテリアは、また一風変わった町家の素敵な使い方ですね。まるで粋な料理屋さんに来たみたいです。 京都在住のかたをお招きしたところ、これは外部の人から見た「京都のイメージ」であり、本当の京都の住まいではない、と言われてしまいました(笑) ――「日々、真剣に生きる」がモットーのHさん。これからも京都の新しい発見を探しながら、楽しい町家暮らしを続けていただきたいと思います。 2012.5.1
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