──堀川高校の近くにある内部・外観ともに風情良く残された町家です。町家の暮らしにあこがれて、8月に引っ越してこられた若いご夫婦とお子さんのお宅に、お話しを伺ってまいりました。 苗村 豊史(京町家情報センター)
いずれ東京から京都に主人の転勤が決まったら京町家に住みたいと考え、約1年前から京町家情報センターに登録していました。 イベント『住みたい町家を探しに行こう!』にも参加して町家をいくつか見学しましたが、「結構傷んでいる」「自分で手入れが必要」「家が狭い」「広いが家賃が予算に合わない」等、希望に合う物件がなかなか見つかりませんでした。 4月に京都に転勤し、一度は賃貸マンションに入居したのですが、たまたま情報センターのニュースレターで今回の町家に興味を持ち、7月の終わりに見学に行きました。 見学するまでは、余程の事がなければ再度の引越はしないだろうという気持ちでしたが、伝統的な良さを残して美しく改修されており、建物の広さに対して賃料が良心的である事、また、大家さんのお人柄にも惹かれて翌日には決めさせていただきました。 ──実際に住まれた感想はいかがですか? 今はまだ引越して1ヶ月で、片付いていませんが(笑)、町家の造りに毎日新しい発見があり、大家さんの町家への思いも感じられ、感動しながら住んでいます。 夏は涼しく、朝夕はエアコン不要で、訪問された方も玄関の涼しさに驚かれています。 入居後は週一ペースで友人の訪問を受けているのですが、皆さん快適に過ごせて喜んで頂いてます。 まさに、お客様をお呼びしたくなる家です。 もし、将来、この町家を出ないといけなくなったら、この町家以上に気に入った家が見つかるか今から心配しています(笑)。少なくともマンション暮らしにはもう戻れそうにありません。 また、以前の暮らしでは喉の調子が悪い事が多かったのですが、引越し後は、自然素材に囲まれているせいか、調子も良くなりました。 さすがに、虫(蚊・クモ)は良く出ますが、一緒に共存していこうと思っています。私が妊娠中の為、台所やトイレへの土間の上がり降りが大変な面もありますが、土間やトイレは豪快に(笑)掃除ができますし、子供も庭の草むしり等楽しんで手伝ってくれます。洗濯物も風が通って良く乾きますよ。 ──家主さんやご近所とのお付き合いはいかがですか? 東京のマンション暮らしの時とはまったく違いますね。 大家さんはお向かいにお住まいで仲良くさせていただいています。今回は入居前にもかかわらず、町内の地蔵盆にも混ぜて頂きました。 前の道も交通量が少なく、うちの子供も近所のお子さん(幼稚園から小学生10人ぐらい)としょっちゅう一緒に遊んでいます。お互いの家へも行き来があります。 京都の真ん中に住んでいるのに、田舎のようなお付き合いができて嬉しく、毎日が本当に楽しいです。 2011.11.1
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