「楽町楽家」で「流通途上町家」としてアートイベント会場になった家を、それがきっかけとなって借りてもらうことが出来ました。こちらとしては思惑が当たった、という感じですが、話を聞くと、それだけではなかったようです。 〈松井 薫(情報センター事務局長)〉
中西さん ここに住む以前からチョコレートをつくることはしていて、注文をいただいて作り、届けたり受け取りにきていただいたり、ということをしていたんです。でもそれではやはり行き届かない面も多かったので、しっかりした拠点となるお店を持ちたいと思い場所を探していました。しかし住みながらお店をするとなると、広さの問題や店舗とするにあたっての法的な規制、彼女(シェリーさん)のかねてからの希望として自然であることやこういった古い家がよいというのがあったこと、また子供がいて、犬も一緒に暮らせて、とクリアしなければならない条件が多いこともあり、なかなかよい場所が見つからずにいました。 この家は、お隣に彼女の知人の方が住まれているということで、以前から存在は知っていたのですが、どうやって持ち主の方や不動産と連絡をとればよいかなどがわからずに過ごしていました。そんな中で「楽家町家」のイベント準備がここでされているところに通り掛かって、そこで話を聞いてみたところから、今こうして住めるまでに至っています。 シェリーさん 楽家町家のイベント準備をしていた学生さんたちを通して、不動産の方に話を聞くことができました。そのときに、床の間の上の棚から以前ここに住まれていたご家族のものらしい写真が出てきたのですが、そこに一人だけ外国の方が写っていたんですよ。これは何かの「縁」だと思いましたね。 ――この家はしばらく空き家になっていてかなり傷んでいましたが、改修はどのようにされたのですか。 ――実際お住まいになって、感じることはありますか。 ――今後は、静かな音楽を聴きながら、夕食を楽しんでもらうようなこともしていきたいと話される中西さんとシェリーさんを見ていると、われわれの思惑なんかじゃなくて「縁が熟した」からこそ、ここにたどり着けたのだ、と思わずにはいられませんでした。 2006.1.1
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