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京町家情報センター
■京町家に移り住んで…潮田邸

 昨年の9月に、京町家情報センターを通じて、東京から引っ越して京町家に住むことになった潮田邸を、今回センターの手伝いをしてくれている青木敦子さんが、学生たちと訪問して話を聞いてくれました。
松井 薫(事務局長)



潮田邸ファサード
──どうして京都の町家に住もうと思われたのですか
 東京では、空気は悪いし近所との人のつながりも少ない。マンションだと自分たちの思っているような空間が作れ
ないし、1日中、中での仕事(CDの輸入販売、web作成)なので息がつまる思いがすることもあった。別の所で仕事も生活も同じテンションでいられて、そこへ来る人にいい影響を与えられるような所はないかと探し始めていました。たまたま入ったコンビニで買った雑誌に、京町家を借りて住むという記事があり、京町家なら自分の思っている生活ができるのではないか、自分の大事にしたい部分が相手に伝わりやすいのではないかと思いました。

──この町家との出会いは?
 インターネットで調べたりして、何度も京都に来て探したが思わしいものがなくて、やはり無理なのかとあきらめかけていたころに、この町家の情報をもらい、見せてもらってすぐに「これだったらいける」と思いました。

──実際に住んでみてどうですか
 住み始めて半年ですが、冬はものすごく寒い! それに常に建物とかかわっていくことが必要になります。トユを直したり、トイレの排水の詰まったのを直したり……。しかしそれが決していやじゃない。東京で暮らしていたときは全て人任せだったけれど、自分でできることが実は多いし、「直していける」ようになったのはすごくいい。困ったのは、土の上に建っているからだろうけど、いろんなにおいがあって閉口しました。炭を消臭剤として使っています。なによりも、1日いてもストレスがたまらない。ずっといてもいい感じで、四季をよく感じられるようになりました。夏は思ったよりも涼しいので、クーラーもなしでいけるかもしれないと思っています。自分の仕事で扱っているもの(インターネットで環境CD、レコード、天然素材の日用品などを扱っている)についても、ここへ来ていただければ、その良さがもっとわかっていただけるのではないかと思っています。やっぱり引っ越してきてよかった。


潮田邸ミセの間
──ご近所付き合いはどうですか
 家の前にお地蔵さんがあるのですが、引っ越した日が丁度地蔵盆の日で、自分たちの家の前で何をしてるんだろうと思いました。それがきっかけで近所の人たちとも親しくなれたのでスムーズに「普通の」人間関係ができました。近所の人と顔を合わせるとなにかをしゃべらなくてはならず、何をしゃべればいいのか一瞬悩むこともありますが、そういうことも人付き合いのいい勉強になっていると思います。

──今後、情報センターに期待することは
 今回はにおいで困ったのですが、そういった時の対処法も教えてもらえたらいいなと思います。それから、もっと若い人に窓口を広げてもらって、町家に自由に若い人が入って活用するようになれば、いいですね。京町家はマンションに暮らすのと比べて、住みこなすのに「手直し」が多く、手間がかかりますが、食べ物や住む所、いろんなところに自分で手をかけていくことが「豊かに暮らす」ことの答えにつながると思います。若い人にもそのような体験を是非してほしいです。

──ありがとうございました。
青木敦子(事務局員)